中国の「石炭生産量」、3年連続で過去最高を更新 政府の増産政策が後押し、超過採掘への懸念も

✎ 1〜 ✎ 1378 ✎ 1379 ✎ 1380 ✎ 最新
拡大
縮小
石炭は中国のエネルギー供給を支える大黒柱だ。写真は中国の大型炭鉱の採掘現場(国家能源集団のウェブサイトより)

中国の石炭生産量が3年連続で過去最高を更新したことがわかった。中国国家統計局が1月17日に発表した最新データによれば、2023年の石炭生産量は46億6000万トンと前年比2.9%の増加を記録した。

石炭増産が続く背景には、2021年から2022年にかけて生じた市場価格の高騰がある。その影響で中国各地の石炭火力発電所が赤字に陥り、一部の地域では(損失拡大を抑えるために)電力供給を制限する事態に至った。

それを重く見た(中国のマクロ経済政策を統括する)国家発展改革委員会は、エネルギーの安定供給を確保するための政策対応の一環として、国内炭鉱の秩序を伴う増産を後押しした。

供給増で市場価格を抑制

その結果、2021年の石炭生産量は41億3000万トンに達し、それ以前の最高記録だった2013年の39億7000万トンを超えた。2022年の生産量は、そこからさらに10%余り上乗せした45億6000万トンに増加した。

信達証券がまとめたデータによれば、国家発展改革委員会と(エネルギー政策を所管する)国家能源局が2023年1月から11月までの間に認可した石炭の新規生産枠は合計3570万トンに上った。

石炭の供給増加とともに、市場価格は国家発展改革委員会が正常と見なす価格帯に低下して落ち着いた。1キログラム当たり発熱量5500キロカロリーの発電用石炭のスポット価格は、1月16日時点で1トン当たり915元(約1万8800円)。これは1年前とほぼ同水準だ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT