「キョン」が千葉・房総半島で大繁殖、その脅威 「防衛ライン」で茨城県への北上をはばめるか
生態系や農業被害の拡大を受け、環境省は05年にキョンを特定外来生物に指定している。
シークヮーサーを栽培している農家の女性は、キョンの食害に悩まされていると訴える。
「キョンは毎日やってくる。みんなまるまる太っている。人の顔を見ても逃げないし、本当に憎たらしい」
食害に苦しむ農家などの依頼を受けて、キョンの駆除と活用に取り組んでいるのが石川さんだ。生き物を殺す作業は精神的にもつらいが、
「それでも続けてきたのは、獣害に遭ってきたおじいちゃんやおばあちゃんが泣きながら『ありがとう』と言ってくれるからです。誰かがやらなければ、という使命感が僕を支えてきた」
と話す。
「報奨金で儲かる」ことはない
生息数を増やしているキョンの対策として、県内の自治体の多くが、キョンを捕殺した猟師に1頭あたり6千円の報奨金を支払っている。
「報奨金では、まったくもうからないですよ」
と、石川さんは引きつった笑みを浮かべた。
捕獲に使うくくりわな1個1万円弱。ねらったキョンではなく、力の強いイノシシがかかるとすぐに壊されてしまい、修理の手間や費用がかかる。
さらにやっかいなのが、アライグマだ。体は小さいが獰猛で、わなにかかると徹底的に噛んで使い物にならなくしまう。しかも生息数がかなり多い。
「アライグマにわなを壊されると、気力が失せます」
さらに毎日、設置したわなを見回らなければならないので、ガソリン代もばかにならない。