原発作業員の「被曝」問題、刻々と迫る作業員の確保難、安全網の構築はいまだ途上 

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原発作業員の「被曝」問題、刻々と迫る作業員の確保難、安全網の構築はいまだ途上 

「誰かがやるしかないでしょう。消防士が火が怖い、警察官が泥棒が怖いでは、仕事にならんでしょう」。

東京電力福島第一原子力発電所(福島第一)で事故収束に当たる、2次下請け会社の作業員(30代)は語る。男性は5月頭から湯本温泉(福島県いわき市)に寝泊まりし、福島第一で建設作業を担っている。

福島第一で緊急作業に従事する作業員は5月下旬時点で、すでに約7800人に及んでいる(原子力対策災害本部調べ)。湯本温泉では営業中の旅館26軒に、およそ1800人の作業員が宿泊している。

旅館の駐車場には、長岡、神戸、名古屋など各地のナンバーが並ぶ。作業員を乗せたマイクロバスは早朝に出発し、夕方には各旅館に到着するが、「みんな責任感が強くてまじめ。飲みに来ても早々に引き上げる」(飲食店店主)ため、温泉街の夜は早い。

「ちゃんと管理された中で仕事している。むちゃはさせられていない」(30代男性)、「自分でも放射線量のチェックをしており心配はない」(20代男性)。作業員からは被曝の不安など感じないとする声が続いた。

ただ、作業員を診察する医師たちの元には、「高線量区域もまだザラにある」「熱中症患者が毎日出ている。暑さと寝不足で夏場は厳しい」といった本音も寄せられている。

作業員への情報提供や健康管理体制が不十分であることは否めない。

原発事故直後、日雇い労働者が集まるあいりん地区(大阪市西成区)の男性(60代)は、宮城県の仕事に応募したはずが、福島第一に連れていかれ働かされた。

男性は作業員が集結する「Jヴィレッジ」に到着し、初めてだまされたことに気がついたが、「ものを言うのもはばかられる雰囲気で、今さら帰ることもできなかった。事前教育は防護マスクの着け方ぐらいで現場に放り込まれた」という。

男性には、原発作業(放射線管理区域内)に本来は必須のはずの「放射線管理手帳」も交付されていなかった。線量計が渡されたのも作業開始後4日目からだった。


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