人的往来で中ロを天秤にかける北朝鮮の思惑 北朝鮮の「中国離れ」に習近平がイラついた
しかし、1100万人も渡航していたタイ旅行を規制しても大きな不満はなく、影響も限定的だったようだ。それだけ、今は中国の海外旅行需要が弱い証左だと言える。
だから、中国政府にとっては、北朝鮮への往来再開の利用価値は低く、腰が重くなっているのだろうと旅行関係者らは考えているようだ。
ロシアは2024年2月に、北朝鮮へ観光ツアーを送り込んだ。ロシアに北朝鮮観光再開1号で先を越され、観光・往来規制を継続させる状況が続くと、北朝鮮はますます「ロシア優先」を加速させるのではないだろうか。
それは同時に中国とロシアを比較してロシアを優先したり、中国の優先度を下げる可能性が今後もありそうだ。
「往来が再開されなくても仕方がない」
権威主義国である北朝鮮、中国、ロシアはそれぞれが利己的な国益を最初に考える。それぞれが適当な利益でくっついたり、離れたりを繰り返しているのが現実だ。
これまで北朝鮮への外国人旅行全体の95%を超える、年間20万人以上の中国人が、北朝鮮を旅行していたと推測される。中国政府は、大量の観光客という経済的な武器を用いて、再び北朝鮮をハンドリングしようとは考えていないのか。
ロシアに負けじと、中国も制裁を緩め、観光・往来させる決断をしないのかと、中国朝鮮族の貿易商に尋ねてみると、
「おそらく、ロシアに対抗して往来再開を判断する可能性は低い。中国政府は日本など西側の民主主義国家とは、まったく違う論理で判断する。4月末に再開されれば嬉しいが、再開されなくても仕方ない」
もはや、旅行会社や貿易商などの中朝関係者たちは、観光・往来再開に大した期待もしていないという印象を受ける。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら