ドラマ「不適切にも…」で考えた"炎上"問題の本質 不意に生み出される"炎上"に適切に対応する4つの視点

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1. 問題の本質がどこにあるのかを再確認すること
2. 炎上の内容が問題の本質と関わることなのかを検討すること
3. 向き合うべき相手は誰なのかを整理すること
4. 真に向き合うべき相手に真摯に向き合うこと

まず、1と2について考えよう。批判が巻き起こると、それに右往左往してしまいがちだ。しかし、冷静になって批判の内容が本当に問題の本質を突いているのかを考える必要がある。当事者でもなく、事情を知っているわけでもない第三者の批判は、得てしてピント外れのことも多い。そうした批判を真に受けていては、身が持たない。

問題の本質が確認できれば、おのずから3の向き合うべき相手が誰なのか、4の向き合い方も見えてくるだろう。

ドラマで描かれていたアナウンサーの不倫問題は、究極的には夫婦間、あるいは家族内の問題である。家族内の問題が解決できているか否かが重要なことだ。一方で、アナウンサーは公共の電波を通じて多くの人々に情報を送り届ける役割を果たしているため、視聴者の反応も無視できない。

一方で、番組を視聴しておらず、批判だけをしている人たちの声をどれだけ真剣に受け止めるべきなのかは検討の余地がある。批判の声を集めていると、それが世論、すなわち世の中一般の人たちの意見であるかのように勘違いしてしまいがちだが、実際はそうでないことの方が多い。

SNS上の批判の声やコタツ記事は、広く拡散して問題が多くの人に知れ渡ってしまうことも多いので、決して無視してよいわけではない。しかし、それにあまりに影響されすぎてしまうと、問題の本質から外れ、問題解決からかえって遠ざかってしまうこともある。

上に述べた1から4のプロセスが重要であり、問題の本質からズレた批判や、世の中一般の声とも言えない意見に対応することは、二の次、三の次の課題である。

当事者ではない人たちも、悪意ある批判や、きちんと裏取りされていないようなコタツ記事に安易に同調したり、拡散したりしないように心がける必要がある。“炎上”に加担することは、自分たちにとってより窮屈で生きづらい社会を作ってしまうことに加担することでもあることを、肝に銘じておきたい。

また、メディアやプラットフォーム(SNS運営企業など)側、あるいは行政も不要な炎上を生み出したり、過度に批判を増幅させてしまわぬよう、具体的な対策を講じる段階に来ているのではないだろうか。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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