奔走する倉本昌弘PGA会長が胸の内を語った 「終わりかけのゴルフ界」を救う道とは?
――PGAに所属する約5400人の会員は、ゴルフの仕事で十分な収入を得ていますか。
いいえ。日本でゴルフを教えている人は、PGA会員を含めて全部で1万人ぐらいと推測している。ゴルフがうまくてプロテストに合格しただけでは食べていけないので、何かツールを持ってほしい。そのための機会をわれわれは作っていく。研修内容を見直し、2016年以降はビジネスに関してもっと勉強できるようにしたい。
ティーチングに関していえば、いいお客さんがつけば食べていけるが、ひとりで頑張っても30人ぐらいが限界でしょう。そこで提案したいのが、複数で教えるスクールシステム。ひとりだと30人しか持てないが、3人だとスケールメリットが出て200人教えることも可能になる。フロントスタッフをさらに加えると、空いてしまうコマが減っていく。こうしたチームを組む方法なども教えていきたい。経営的な発想があるかないかで変わりますから。もうひとつ、ティーチングで大切なのはいい接客ができているかということです。
――PGAの組織も活性化が必要ですね。
意識改革のために研修を始めた。先日、初めて会員が事務局スタッフに加わったのですが、僕としてはそういう会員が増えてほしい。また、英語が話せて、今後のゴルフ界をリードしたいという会員がいたら、米国PGAに派遣するので手を挙げてほしい。ゴルフアカデミーを担当しているのは若い女性職員ですが、これも、若手にどんどん活躍してほしいと思っているからです。
ゴルフより野球の選手のほうが幸せ
――トーナメントプロも稼ぐのが大変です。
バブルのころは40何試合あったので、100人以上が食べていけた。24試合だった14年は、ツアー100位の選手の賞金が530万円、60位台で1500万円くらい。完全に縮小しているので、自分たちの意識を変えないといけない。クラブを振り回していたら食えると思ったら大間違い。
でも、野球の世界はもっと厳しいですよ。リトルリーグでふるいにかけられ、中学、高校でふるいにかけられ、めでたくプロになっても、監督と合わないといった理由で使ってもらえないこともある。でも、ゴルフより野球の選手のほうが、実は幸せなのかもしれない。自分が野球を続けたくても、君はもう辞めなさいと誰かに言ってもらえるから。ゴルフの世界では、多くの人は自分が辞めなければいけないとわかっていても、なかなか決断できない。
――男子の試合数が激減しているなか、賞金総額の少ない試合を増やそうという動きがありますが、ひとつの解になると思いますか。
功罪両方あると思います。メリットは参入しやすいことですが、逆に、既存のスポンサーにとってはどうでしょう。「じゃあ、うち2億円出しているのに、出場している選手たちが同じってどういうこと?」と思われてしまう。
私はJGTOにいたときに、たとえば賞金総額が2億円クラスのプレミアリーグと、1億円以下で参入しやすいセカンドリーグを作るのはどうかと考えていました。それで、プレミアリーグには選手全員が参加するという確約を取る。そんなドラスチックな発想がないと、ツアーの活性化は難しいと思います。
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