永住者が大困惑、語られない「入管法改正」の中身 実習制度の改善の裏で起きていること

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今回の改正により、法務省の担当者は外国人の納税記録を査定しなければならなくなるため、仕事量が増えるだろう。さらに永住権からビザに「降格」した人たちの申請の審査もすることになれば、さらに多忙になるのは避けられない。

中には外国人の永住権は日本人には関係ないと考える人もいるだろう。だが、すでに多くの場面で外国人は日本に暮らす人々の生活を支える事業やサービスの従事しているほか、今後さらに人口減が進む中で、第一次産業から第三次産業までにおける貴重な労働力となることは間違いない。

こうした中で、日本が外国人を惹きつける唯一の方法は、彼らの滞在中――特に永住権を取得した後は――彼らを日本人のように扱うことである。

日本における「永住者」が置かれた立場

約25年前、詩人の大岡信氏の別荘で、新年会に出席する栄誉にあずかった。同氏は、あるとき長いフライト中に、日本人のビジネスマンのグループが自然に輪になって議論していることに気がついた、と来客たちに語った。このことで、日本社会が輪のように機能することを同氏は認識したという。

グループでは、人々が受け入れられるために苦闘し、固い結びつきのコミュニティを形成し、深刻なミスを犯した場合のみ追い出される。このイメージが現在の外国人への永住権の待遇を完全にとらえている。

つまり、永住権は、厳しい審査の後に与えられ、その保有は日本国民と同等の安定性を保証する。大岡信氏の言葉では、一度永住者になれば、外国人は、自分が日本人による「輪」の中にいる「点」のように感じる。しかし、今回の改正案は、外国人は決して完全には日本の一部となることが認められないということを示している。彼らは「非永住者」であり続けるのだ。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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