永住者が大困惑、語られない「入管法改正」の中身 実習制度の改善の裏で起きていること

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実はこれは、実習生だけでなく、その数の3倍に当たる、90万人近くに上る日本の永住者に影響を与えるが、草案の議論中にこの点は決して論じられなかった。議論の関係者によると、これは、自民党の右派の議員の意向を受けた出入国在留管理庁(ISA)によって、土壇場になって加えられたとのことだ。

唯一、『信濃毎日新聞』がこの措置の重大性を取り上げ、翌日に一面に掲載した。英語圏の人々は、それが「埋もれた見出し」だと話している。草案の上部に取り上げられるべき部分だが、本文の中に隠されたのだ。

立場の弱い外国人が影響を受ける可能性

永住者は、当然ながら法に従い、応分に納税するべきである。しかし、それを怠った場合には、国民の場合と同様の待遇をすでに受けている。税金未納の場合、国税庁が財産を差し押さえる十分な権限を持つ。罪を犯した場合は、司法制度により日本人と同様に厳しく処分される。

それにもかかわらず、なぜ、特に税金未納に対して永住権を取り消すという人生を揺るがすような罰を加えられるのだろうか。自民党の85人の党員が寄付金を申告せずに長年税務当局を騙してきたことで、彼らは何の制裁も受けていない。同じことに対して永住者の待遇を取り消すことは非倫理的ではないだろうか。

この改正案が可決された場合、たとえば、退職したり、納税申告をする際に間違ってしまったりする社会的弱者や高齢者が大きな影響を受ける可能性がある。

歴史的なマクリーン判決(1978年)で決定されたように、永住者は法務省が認めた限りの権利のみを有する。2021年に名古屋入管に収容されていたウィシュマ・サンダマリさんが収容中に死亡したように、法務局が永住者が生きるか死ぬかの決定権を持っているのだ。

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