国語の得意な子がやっている意外な読書法とは? 本にアートを掛け合わせ、読書を3倍楽しくする

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一方、読書が嫌いな子どもたちは、文章を記号の羅列のように読んでいるだけなので、一度読んだだけでは意味内容がきちんとわかりません。たとえぼんやり理解できたとしても、誤解だらけの解釈であったり、内容をすぐに忘れてしまうので、次の日に本を開いて続きを読もうとすると、もうストーリーがつながらないということになったりするのです。

2次元の文章を3次元に立ち上げる読解力があるかどうかは、読解テストをしなくても、A地点からB地点までの道のりを言葉で説明させてみる、あるいは4コマ漫画を見せて、そのストーリーを語らせてみるなどすると、すぐにわかります。

映像化・立体化の苦手な子は、道順がうまく説明できませんし、漫画のオチを読み取ることも難しいのです。頭の中で絵を動かせないため、静止した絵だけを見ても何が起きているのかさっぱり理解できない、というわけです。

トレーニングで育つ「2次元を3次元に転換する能力」

では、絵や文章を映像化できない子は、もうずっとそのままなのか?というとそうでもありません。根気強くトレーニングをすれば、2次元を3次元に転換する能力は徐々に育ってきますから、諦めずに取り組んであげるといいでしょう。

いきなり読書を楽しませようとしても無理があるので、まずはあらゆる単語や状況がイメージできるようにしてあげるところから始めましょう。読書嫌いの子はたいてい語彙力と一般常識力が不足しています。文章の中に出てくる言葉や事象を知らず、イメージできないから映像化ができないのです。なので、さまざまなものを実際に見せ、体験させながらものの名前や一般常識をどんどん教えてあげるといいのです。

私は「幕の内弁当」という言葉を教えるために、娘を歌舞伎座に連れていき、幕間で実際にお弁当を食べさせながら「幕の内弁当」の由来を語って聞かせました。また、「干潮、満潮」という現象を理解させるため、大潮の日に潮干狩りに連れていったこともあります。

いちいちそんな面倒なことをしなくても口で言えばわかるだろうと思われるでしょうけれど、口頭で説明するだけ、辞書で引かせるだけの知識は、体験ほど強烈な記憶として子どもの中に残ってはくれませんし、言葉そのものに興味を持つきっかけになりません。国語を好きにさせるには、とにかく小さい頃に「言葉を覚えるのって楽しい!」とお子さんに思ってもらう必要があるのです。

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