利益4兆円超えのトヨタ自動車 "王座維持"のカギ 北米HV、東南アジアEV… 最新リポート【前編】

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トヨタのHVのグローバル販売台数は2023年が前年同期比31%増の342万台と過去最高水準だった。10年前(2013年、125万台)と比べても3倍弱に伸長した。宮崎副社長は2023年11月に「2026年にもHVのグローバル販売が500万台に達する」との見方を示していたが、足元でのHV急伸の動きを見て「1年前倒しの可能性が出てきた」と自信を見せる。

主力市場の北米では追い風が吹く。世界の環境規制で先行するカリフォルニア州では、2023年の販売台数でトヨタが27万8345台と、テスラ(23万589台)をかわして首位に立った。HV販売の好調が要因とみられ、ホンダも前年比3割以上台数を伸ばし3位(17万2834台)に入った。電動車の販売競争が熾烈な同州にあってHV人気の根強さを示した形だ。

「多くの消費者がHVに興味を持っている」。米フォード・モーターのジム・ファーリーCEOはHVのニーズが着実に増えていることを強調する。同社は昨夏に、今後5年でHV販売を4倍まで増やすことを表明している。

米ゼネラル・モーターズ(GM)も1月、プラグインハイブリッド車(PHV)投入を計画していると公表した。両社はEV一本足に舵を切ることでテスラに対抗しようとしていたが、ここに来て方針を転換する。

HVは車両サイズの近いEVに比べて100万〜300万円程度価格が割安で、航続距離も格段に長い。充電の心配が要らないことからアメリカでも利便性の高い環境車として支持を得ているとみられる。

欧州もEV市場の伸びが鈍化

ヨーロッパもドイツなどでの購入補助金カットが響き、EV市場の伸びが鈍化。自動車各社はEV関連の投資計画の見直しを示唆する。一方のトヨタはヨーロッパでの2023年のHV販売が71.9万台と過去最高を記録した。

世界的なHV見直し機運の恩恵を最も受けるのがトヨタなのは間違いない。もっとも、EVシフトが消えてなくなったわけではない。

市場の伸びが鈍化しているEVだが、S&P・グローバル・レーティングによると、販売台数に占める比率はPHVを含めて2025年にヨーロッパが30%強(2022年22%)、中国が35〜40%(同27%)、アメリカが16〜20%(7%)まで到達する見通し。グローバルでも2割前後を占める見込みで、販売面で一定の対応が求められるのは変わらない。

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