台湾問題「現状維持」が大多数、その自然な理由 次の脅威は日本?見え隠れするアメリカの思惑
だがあまりに急速な中国との経済一体化に反対する台湾の学生が立法院の議場を占拠する「ひまわり学生運動」が起き、2016年の総統選挙では「本省人」の女性、民進党の蔡英文(さい・えいぶん)氏が当選、2020年に再選された。
蔡英文総統は中国が唱える「1国2制度」には反対だが、独立を目指すことは公言せず「現状維持が目標」と演説してきた。
台湾の選挙では露骨に「独立」を叫んでも「統一」を支持しても、互いの反対論者から攻撃され不利になるから、本来独立志向の民進党候補は「統一反対」と言い、国民党候補は「統一を」ではなく「独立反対」と言い、双方の立場は現状維持に収斂(しゅうれん)、意見が一致する奇妙な形になる。
台湾住民の約9割が現状維持を望む
台湾政府の大陸委員会が2022年10月に行った「大陸との関係はどうすべきか」の世論調査(20歳以上1096人が回答)では86.3%が独立でも統一でもない「現状維持」を望んでいる。
「速やかに独立」は7.7%、「速やかに統一」は1.7%だ。「現状維持」を望む人に「しばし現状維持の後にどうすべきか」と問うと「現状維持の後に独立」が22%、「現状維持の後に統一」が7.0%、「現状維持の後に決める」が28.9%、「永久に現状維持」が28.4%だ。
大陸との親密な相互依存で繁栄している台湾の人々は大陸との経済関係を切断したり、戦争になったりすることを望まないが、統一して言論の自由が阻害されるのもうれしくないから「今のままでよい」というのは理性的で自然だ。
アメリカの下院議員などが台湾独立を煽り、戦争準備を語るのは蔡英文総統にとって多分迷惑だろうが、面会を断るわけにもいかず、あまりに親しくしては民進党の票が減りそうだから苦しいところではなかろうか。
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