このところ平日に株価がどんどん上がるものだから、つい気になって休日の競馬に身が入らない。この連載を10年以上も続けてきて、今までに一度もなかった事態である。
1989年当時の株価こそ「正気の沙汰」じゃなかった
それもそのはず、日経平均株価は2月22日、終値で3万9098円となって約34年ぶりに最高値を更新した。
当欄の相棒(持ち回り連載執筆者)である小幡績先生(慶應義塾大学院教授)は「日本株は誰が何と言おうと、やっぱり暴落する」(2月24日配信) とおっしゃる。
けれども、ありうるシナリオとして当のオバゼキ先生も予想したとおり、株価はその後も高値を更新しつづけ、3月1日には4万円まであと約10円と迫った。
この調子がいつまで続くのか。以下は若干の思考実験である。
新高値となった翌2月23日、日本経済新聞朝刊の一面は壮観であった 。「大はしゃぎ」と言っていいくらいだが、何しろ日経平均を算出している当事者なのだから、それくらいは必然かもしれない。この日の一面に描かれていた比較が興味深かった。
時価総額 606兆円 943兆円
PER(株価収益率) 61.7倍 16.5倍
PBR(株価純資産倍率) 5.6倍 1.4倍
経常利益額 38兆円 95兆円
時価総額のGDP比 1.41倍 1.42倍
世界時価総額の日本比率 37% 6%
要するに日経新聞は、「2024年の株価はバブルじゃないですよ。1989年とは違って正当な評価なんですよ!」と強調したいのであろう。それは確かに一目瞭然で、今の常識から考えると1989年当時の株価は正気の沙汰とは思われない。
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