日経平均がどこまで上がるかを真剣に考えてみた 天井知らずのエヌビディアの賞味期限はいつか

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こんなふうに整理してみると、このあとの株式市場は「日経平均が下げてTOPIXが上がる」という調整が行われるように思えてくる。日銀の金融政策正常化は間もなく始まるはずだ。逆に、アメリカの利下げも年内のどこかで始まるだろう。となれば、足元の円安はいずれ修正される。日経平均よりもTOPIX狙いに妙味がある、ということになるのではないか。

今の「AIブーム」は本物なのか

以下はまったくの個人的偏見なのだけれども、筆者は今のアメリカのAI(人工知能)ブームがどうにも腑に落ちない。そもそもエヌビディアという1社の決算があれだけ相場に影響力を持つこと自体が、どこか不健全なのではないか。オバゼキ先生は前出の記事で「バブルのお代わりは3度まで」 という名文句を残したが、確かにちょっと虫が良すぎる気がする。

なにより筆者は、話題のチャットGPTの収益モデルが今も不透明なまま、という点に納得がいかないでいる。とりあえずハード面の開発は必要だから、それこそエヌビディアのような半導体関連の株価が天井知れずになっている。

しかるにそれは、「ゴールドラッシュの際に、ピッケルとシャベルを売っている業者は確実に儲かる」のと同じ理屈であって、肝心の金鉱が見つかるという保証はどこにもないのである.

先日、こんな話をしていたら、某外資系金融マンに見事に論破されてしまった。「だからいいんじゃないですか。チャットGPTの収益モデルがわかったら、利益が計算できるようになるから夢がなくなる。金鉱が見つかるかどうかわからないから、期待が生じて相場が上がるんですよ」。

なるほど、それはまったくお説どおりである。ただし、それって見事に「バブルの論理」なのではあるまいか。というより、これはAIに限ったことではなくて、新しい産業が誕生するときに繰り返されてきた議論なのであろう。

問題は今のAIブームが本物か否か。とりあえずの結論は「ハイテク相場の夢に賭けるならば日経平均を、金融政策の正常化に期待するならTOPIXを見よ」ということになる。くれぐれも投資は自己責任で、というお決まりの文句を付け加えて、この思考実験は終了するのである。

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末の競馬を予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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