一方、たとえ予想を上回っても、いわゆる好材料出尽くしとなる。つまり、好決算を待ち構えていて、実際に好決算だったら、よし、好決算で暴騰するに違いない今こそ売り時だ、絶好の売りタイミングだ、となって、みんな売ろうとする、というのが典型的なパターンである。
絶好の売りタイミングのはずが、全員が売れば、それは誰もうまく売ることができず、一斉の売り、つまり、暴落となる。私は、このどちらかのシナリオになると予想した。
この予想は、これ以上ないというくらい外れた。それは、エヌビディアの決算が、私のような思考をして、売ろうと待ち構えていた投資家たちの予想をさらに超える好決算だったからだ。
となると、「よっしゃ、もうひとヤマ」ということになる。バブルのピークにさらに、もう1つ最後のヤマ(あるいは山)が加わったのである。せっかく儲かるのに、ここでパーティーをしない理由はない。「一気に盛り上げろ―!」ということになる。
これはエヌビディアバブルのほうの話で、日経平均バブルのほうとして、「待ってました! 最後の3万8915円の突破エンジン、ターボジェット噴射の支援が届いたんだから、一気にイケ―――!」ということになったのである。
「3回目のアンコール」後、幕が下りるのはいつなのか
つまり、世界株式市場は、完全にバブル崩壊になったはずのコロナショックから、「おまけバブル」が3回もあった。
すなわち、コロナ支援金バブルという「おまけバブルその1」、アメリカの中央銀行であるFEDの利下げを勝手に期待する、金融政策プットオプションバブルという「おまけバブルその2」、そしてAI(人工知能)、半導体バブル、あるいは「マグニフィセント6」(7と言われているが、テスラを除くので6)バブル、あるいは直接的にはエヌビディアバブルという「おまけバブルその3」である。
つまり「バブルのおかわり」を要求する投資家たちに応えた、バブルのアンコールを3回も繰り返した。コンサートではアンコールは2回まで、例外があるとしても3回までだ。4回目はない。ありえないと思われたこの3回目のアンコールのあと、幕は下りるのである。
私はサブシナリオとして、早ければ週明けの26日の月曜日は材料出尽くしで暴落が来る可能性が若干あるとみているが、メインシナリオはこの勢いで26日以降、早々と4万円台を突破し、その後、乱高下を続け、3月8日のいわゆるメジャーSQ(先物とオプション取引が同時に清算を迎える日)、この日に最後の幕が下りると考える。つまり、大暴落が起きる、ということである。
この2つのシナリオ(おそらく26日暴落説はすぐにまた外れることが判明するだろうが)が短期的に実現するかどうかよりも、私にとって重要なのは、これがバブルであり(それは間違いのない事実であるが)、しかもそれがまさに頂点に達しているという仮説が正しいかどうか、である。
バブルの頂点がいつかというのは、見かけ以上に難しく、ほとんど誰も当てることができない。あのアイザック・ニュートン(1642~1727)でさえも、欧州を中心に起きた「南海泡沫バブル」(まさにバブルバブルだ)で失敗した。
簡単に言えば、「もうバブルのピークだ」と自信をもって売って大儲けしたあと、さらにバブルが続き、売ってから約2倍になってしまったので、後悔して買い戻したが、そこが実際のピークで、買い戻した瞬間にバブルが崩壊したのである。これがまさに典型的なバブルである。
ということは、賢明な読者はお気づきと思うが、いちばん可能性の高いシナリオは、小幡が降参して、「バブルは当分崩壊しない」という記事を「東洋経済オンライン」などに書いた直後に暴落する、というものだ。”Stay tuned”.(乞うご期待)。
(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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