人口激減の韓国が日本のライバルであり続ける訳 「地球から消滅する最初の国」との予測もあるが…

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人口減少は、韓国の経済・社会を大きく揺るがします。韓国はすでに人口ボーナス(人口増加が経済成長にプラスに働く状態)から人口オーナス(人口減少が経済成長にマイナスに働く状態)に転換しており、労働力不足と需要不足で近く経済成長率はマイナスに転じます。

また韓国では、少子化とともに高齢化が進んでいます。韓国の2022年の高齢化率は17.5%で、日本の29.1%より低水準ですが、2045年には日本を抜いて世界1位になる見通しです。医療・年金など社会保障の負担が国民に重くのしかかることになります。

そして何よりも、国民が激減すればそもそも国家を維持できなくなります。多くの研究機関が韓国を「人口減少で地球から消滅する最初の国」と予想していますが(「2100年代、日本は韓国より早く国家機能失う危機」参照)、少子化の加速でその可能性がさらに高まっています。

人口減少の影響が出るのは数十年先

こうした状況を受けて、いま韓国の内外では「韓国は終わった」「絶望しかない悲惨な国」という悲観論が増えています。とくにグローバル市場で韓国企業と戦ってきた日本企業の関係者の間では、「韓国はもはやわが国のライバルではない」という強気の声が聞かれます。

しかし、筆者は以下の3つの理由から、「韓国が衰退するのはかなり先で、韓国企業は向こう30年間は日本企業の強力なライバルであり続ける」と考えます。

第1に、韓国で人口減少による労働力不足の影響が本格的に表れるのは、2050年以降だと推測されます。

韓国では1960年代後半からベビーブームが起こり、1970~1971年の出生数は、年100万人を超えていました。合計特殊出生率は1971年に4.54と高水準で、人口置換水準(2.06程度)を下回ったのは1983年以降です。少子化は、ごく最近の現象なのです。

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