「大谷翔平も使う計測機」を扱う開発者たちの正体 ミズノが実現した「野球データの民主化」

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修士課程を修了してミズノに入った。

「球界全体とか、スポーツ全体についての問題意識があったので、ミズノに魅力を感じました。最初は、野球ではなくて卓球のラバーの研究、開発を担当しました。卓球では野球以上にボールの回転が重要です。現場に行かせてもらって選手の声を聞いたりしながら材質や製品の改良を行いました。その後、野球の分野を担当するようになりました」

大谷翔平も使う「ブラスト」

中田氏が担当した製品の1つが、「ブラスト」というバットのスイング時のさまざまなデータを計測する機器だ。グリップエンドにつけるセンサーからBluetoothでiPadやiPhoneなどの端末に打撃のさまざまなデータを送信する。

バットのグリップエンドに装着したブラスト(写真:筆者撮影)

今春のMLBキャンプでも大谷翔平が装着して打撃練習をしているシーンが流れたが、1セットで2万1780円(税込み)という手頃な機器ながら、バッティングに革命をもたらそうとしている。

受け取れるデータは、無料バージョンでは、バットスピード、手の最大スピード、アッパースイング度、さらにはスマホで動画を撮っていればそれに連動させるなどのデータサービスを入手できる。有料サービスでは、さらに詳細なデータを見ることができる。またコーチモードの有料サービスでは、選手ごとのデータ管理や、チームレポートを作成する機能がついてくる。

「これまで、ハイスピードカメラなど大きな装置でなければとれなかったバッティングの情報が、『ブラスト』をグリップに装着すればすぐに出てくる。自分で確認することもできるし、チーム単位でも把握できる。『データの民主化』が起きているかなと思います」と中田氏は語る。

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