「AppleMusic」は、本当に魅力的なサービスか 無料慣れした世代にとっては古くさい

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Apple Musicを発表する場で、アップルはSpotifyのフリーミアムモデルを引き合いに出したが、Spotifyも月10ドルの有料プランでは、ストリーミングだけでなく直接楽曲を再生することができ、ロイヤルティの支払いもおよそ7割だという。

しかしそれでもSpotifyとの違いを強調するのは、既存のストリーミングサービスが、無料もしくは有料で利益配分をする「楽曲再販の場」であるとの考えの表れだろう。アップルが目指すのは、App Storeのような、エコシステムを持つ「プラットホーム」なのだ。

時代遅れの感覚にならないか、不安も

エディ・キュー氏がデモをするApple Music。好みを学習しておすすめを表示する「For You」、新譜を表示する「New」、新たなグローバルラジオBeat 1を含む「Radio」、そしてアーティストの最新情報をフォローできる「Connect」によって構成される

ハードルの高いチャレンジをするわけだが、それでもアップルは近い将来、収益面、ユーザー数の点で、ライバルを圧倒することになるだろう。iPhoneやiPadだけでなく、Androidもターゲットに加えることから、アップルのいう1億ユーザーの達成も不可能な数字ではないはずだ。

その一方で、スマホで聴く音楽は無料が当たり前、ビデオが当たり前、という新たな世代にとって、Apple Musicが魅力的にみえるのか、依然として疑問が残る。

アップルはApple Musicにより「音楽を所有する」という古いビジネスモデルから脱却できるが、それでもユーザーにとっては有料だ。アーティストにとってもユーザーにとっても、より新しい感覚に対応できているのは、無料プラットホームであるグーグルのYouTubeだろう。

アップルの新サービスはその感覚に届いていない。「音楽を所有する」と「無料で音楽を聴く」の間に「有料で音楽を共有する」というモデルが繁栄する余地があるのか。注目していきたい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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