亮子さんはあきらめずに婚活を続け、昨年の夏に前述の世話オバを知った。担当のオノデラさんに「いちおしの男性なのよ!」と勧められて会ったのが、現在の夫である山内健司さん(仮名、50歳)。中堅企業のベテラン営業マンである。
銀座ライオンでビールをあおるおじさん
オノデラさんによれば、健司さんは父親の介護を長くしていたこともあり、婚期を逃してしまったという。2年前に父親が他界し、「家族はだんだんいなくなるものだ」と感じていた際に、勤務先の社長に背中を押されて世話オバに入会した。
「オノデラさんには『素直でいい人。のびしろがある男!』と聞いていたのですが、実際に会ってみたら単なるくたびれたおじさんでした(笑)。太めだし、普通のスーツ姿だし……。会っていきなり『お店は(銀座)ライオンでいいですか』と言われたんです。私も飲むのが好きなのでライオンも決して嫌いじゃありません。でも、最初のデートでライオンはないんじゃないでしょうか。ビールばかり飲んでもお腹がふくれてしまいます」
緊張し切っていた健司さんは、亮子さんの呆れ顔に気づかず、ビールをガンガンに飲みまくり「炸裂トーク」を展開。亮子さんが苦手なタバコも吸った。
「正直言ってドン引きしたんですけど、別れ際に『よかったらまた会ってくれませんか』と言われたし、翌朝には『昨夜はすみませんでした。僕ばかり話してしまって……』とお詫びのメールが来ていました。お断りする余裕がなかった、というのが正直なところです」
亮子さんは世話オバにありのままを報告。すると、担当のオノデラさんは「いきなり酒席で会うのは禁止と言ったのに、あの彼は!」と激怒してくれた。亮子さんが「私も大人なのでアルコールはむしろ歓迎です」となだめることに。飲むピッチを落とすように指導する、という不思議な結論に落ち着いた。
ここで健司さんも男気というか可愛げを発揮する。酒を飲むスピードを落とすことはもちろん、30年来のタバコをやめることを決意。服装にも気を配るようになった。
「10日に1回ぐらいのペースでデートしていましたが、会うたびに若返ってくれる印象を受けました。お酒は強くないのに飲み過ぎてしまう人です。嫌いになれないな、人間らしい人だなと思いました。
職場では敏腕の営業マンらしくて、油断しているときに心にグッと来ることを言うんですよ。出張ついでに行った伊勢神宮でお参りをしてきたというので、『何かご利益はありましたか?』と聞いたら、『今日もあなたに会えたことです』なんて……。大らかな人なので一緒にいると気持ちが安定するんです」
のろけ話になって来たのでそろそろ終わりにする。飲み食いが好きだという共通点もさることながら、働き者で朗らかな健司さんとの心地良い時間に、亮子さんは「男の人と生きることでしか得られない何か」を実感しているに違いない。
※取材協力:東京世話焼きおばさんの縁結び
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