部下の「わかりました」はなぜ信用できないのか イメージの「解像度」を上げる3つのフレーズ
人の内面を表す言葉は、具体的なイメージができません。相手は自分の経験をもとに想像するしかないのです。しかし、「解釈」や「感情」そのものを説明することは難しいですよね。せいぜい、「胸が締めつけられるような」とか「口から心臓が飛び出そうな」といったように表現するくらいでしょう。でも、「具体的なエピソード」を添えると、「解釈」や「感情」そのものを説明しなくても、相手に伝わります。
「書くことに自信がなかったが、コツがわかったら楽しく書けるようになった」では、ボンヤリとしか伝わりません。イメージができないからです。
「書くことに自信がありませんでした。具体的には、A4の紙1枚の企画書を書くのに、2、3時間かかっていました。そうして作った企画書も、上司からダメ出しされていました。でも、コツがわかったら、数十分で書けるようになり、上司からもほめられるようになりました」
このように、「具体的なエピソード」があるとどうでしょうか。情景が目に浮かび、「どのように自信がなかったのか」「楽しく書けるとはどういうことか」が、わかりやすくなりましたね。
人の内面を説明するときは、内面そのものを説明するのではなく、具体的なエピソードを添えて説明すると、伝わりやすくなります。
代名詞ではなく「固有名詞」を使う
「彼」「彼女」といった代名詞や、「これ」「それ」などの指示代名詞を使うと、何度も同じ言葉を繰り返さずに済むという利点があります。しかし、具体的に何を指すのか、誰にとっても明らかでない限り、こうした代名詞や指示代名詞をビジネスの場面で使うのは避けましょう。なぜなら、ビジネスでは「誰もが同じ解釈ができるように説明すること」が求められるからです。
「あの件、準備できている?」と言われても、「あの件」が何を指すのか、わからないですよね。上司は「来週のA社との面談」のつもりでも、部下は「明日の社内会議」のことだと受け取る可能性もあります。ですから、正確に伝えるためには、
「来週のA社との面談の件、準備できている?」
のように、固有名詞を使って具体的に伝える必要があります。
また、次のような例文はどうでしょうか。
「当時、中国ではPM2.5の問題が大きく取り上げられていた。特に冬になると、その濃度は高くなる傾向にあった。それは燃料を燃やすことで発生する。だから、そうした工場に対して、非常に厳しい規制がかけられていた」
おそらく、内容が頭にスッと入ってこなかったのではないでしょうか。なぜなら、「その」「それ」「そうした」といった指示代名詞が何を指すのか、読む側が探さなければならないからです。「そうした工場」とは、PM2.5を発生させる工場を指すのか、燃料を燃やす工場を指すのか、よくわかりません。
それでは、文中の指示代名詞を具体的な言葉に置き換えてみましょう。
「当時、中国ではPM2.5の問題が大きく取り上げられていた。特に冬になると、PM2.5の濃度は高くなる傾向にあった。PM2.5は燃料を燃やすことで発生する。だから、燃料を燃やしている工場に対して、非常に厳しい規制がかけられていた」
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