書籍も多数「繊細さん」ブームに潜んでいる弊害 HSPの概念だけでは説明できない「生きづらさ」

拡大
縮小
HSP 繊細さん
HSPの認知度が高まる一方で、弊害もあるようです(写真: ノンタン / PIXTA)
近年メディアでもよく取り上げられ、関連書籍も多数出版されている「HSP」。認知度が高まる一方、さまざまな情報が付加されることで、問題も生じているようです。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』の著作がある、公認心理師のみきいちたろうさんが解説します。

近年、HSP(Highly Sensitive Person、感受性の高い人、繊細な人)が文字通り“ブーム”と言えるような状況になっています。

「繊細さん」というようなタイトルで書かれた本も書店などで目にします。テレビでも取り上げられ、芸能人が「自分もHSPだった!」と、SNSで発信するなど、すっかり市民権を得た趣があります。

実際に、私がカウンセラーとしてご相談を伺っていても、「自分はHSPかもしれません」「私は、HSS型HSPです」というようなことをおっしゃるご相談者が増えています。

“HSPブーム”と専門家からの警鐘

一方で、そんなブームに対して、専門家から警鐘が鳴らされるようにもなりました。発達心理学者の飯村周平氏などがその代表です(参考:『HSPブームの功罪を問う』岩波ブックレットなど)。

簡単に言えば、HSPが本来の意味を離れて、さまざまな情報が付加されることで、弊害も生じているということです。

もともと、HSPとは、1996年にアメリカの臨床心理学者のエレイン・アーロンが提唱したのが最初で、学術的には「感覚処理感受性」と呼ばれるものです。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT