「子どものころに妹が入院したことがあって、その頃から看護師の仕事に憧れてはいました。その後、自分の出産のときにとてもいい助産師さんに担当してもらったことが大きかった。私も患者さんや家族に感謝される看護師になりたいと思いました」
新井さんのように、社会人になってから看護師の仕事に間近に触れ、資格としての魅力を感じる女性は多いという。東京都立広尾看護専門学校の場合、1学年80人のうち2割が30~40代。子育て中の女性も各学年に2~3人はいる。「何カ月も一緒にいると、クラスメイトの年齢は関係なくなります」と新井さんは言う。
新井さんの挑戦を支えるのが家族のサポートだ。江戸川区にある自宅から通学時間は1時間以上かかり、実習中は朝も早い。夫は「やるからにはがんばれ」と応援し、保育園の送迎や平日の夕食は同居する夫の両親が担当している。
同校の中山富子校長は「子育て中の女性なら、家族の理解と協力は必要不可欠」と言う。国家試験に合格し晴れて看護師となった後も、最初は急性期病院などの病棟で経験を積むのが通常のコース。夜勤を伴う交代制勤務も避けられないため、長い目で見ても実家などのサポート体制がそろっていないと難しいかもしれない。
人気の社会人入試は小論文と面接のみ
医療現場からの多様なニーズに応える人材を育てるため、専門学校では今、社会人向け入試の実施に積極的だ。都立校(全7校)の場合は、定員の20〜30%が社会人入試枠。小論文と面接のみで受験できるため人気が高く、昨年度の都立広尾看護専門学校の倍率は8.8倍だった。
あえて一般入試を受験する社会人も少なくない。昨年度の倍率は2.9倍で、社会人入試に比べると低めだ。受験科目は国語、数学、英語の3教科と面接。「学科試験はだいたい高1レベルの内容。英語を得意とする社会人なら、数学がさほど得意でなくても点数をある程度取ることができるようだ」(中山校長)。
実は、前出の新井さんも一般入試組。看護師になると決めたときには入試が1カ月先に迫っており、さすがにその年の合格は無理だろうと考えていたが、得意な英語が得点源となったという。
では、面接ではどのような点が合格のポイントとなるのだろうか。
「看護師の仕事はチームで動きますから、何より大事なのは協調性。自分の意見を言え、人の意見をしっかり聞けるか。心身のタフさも求められます」(中山校長)
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