シビックRS対新型GRヤリス、ホットハッチに脚光 一大ブームを起こしたジャンルに回帰する理由

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そんなホットハッチの代表格がトヨタ「スターレット」やホンダ「シティターボ」、マツダの「ファミリアGT-X」などだ。当時は、各メーカーがこぞってホットハッチをラインナップし、まさに一時代を築いたジャンルだといえる。

ちなみに当時は、「ボーイズレーサー」という言葉もあった。これはクーペモデルなどにも同様のモデルがあったことから、ホットハッチも含めた広義の「若い走り屋御用達車」を意味する。例えば、トヨタのAE86型「カローラレビン/スプリンタートレノ」などがそれに該当する。

ホンダのシビックRSプロトタイプ

シビック タイプRではなく、通常モデルのシビックをベースにしたカスタマイズモデル「シビックRSプロトタイプ」
シビック タイプRではなく、通常モデルのシビックをベースにしたカスタマイズモデル「シビックRSプロトタイプ」(筆者撮影)

今回、ホンダが世界初公開したシビックRSプロトタイプも、そんな現代版ホットハッチの1台だ。従来、ホンダには「シビック タイプR」という高性能なスポーツハッチバック車が設定されている。1997年に登場した初代モデル以来、同社が販売を続けるロングセラーのホットハッチだ。

2022年に登場した現行モデルは、11代目シビックをベースに、2.0L・ターボエンジンを搭載し、最高出力243kW(330PS)を発揮するハイパフォーマンスマシン。だが、現在は受注が一時停止されている。慢性的な半導体不足や不安定な部品入荷、物流の遅延などにより、先々の生産見通しを立てづらい状況が続いているためだ。

シビックRSプロトタイプのリヤビュー
シビックRSプロトタイプのリアビュー(筆者撮影)

そこでホンダがシビックのスポーツバージョンを望むユーザー向けに開発しているのが、新型のRSプロトタイプ。ベースは、スタンダードの1.5L・エンジン車だ。現行のシビックには、ハイブリッド仕様の「シビックe:HEV」もあるが、RSにはガソリン車のみを設定するという。ホンダでは、例えば、コンパクトカー「フィット」のガソリン車にも、専用サスペンションなどを装備したスポーツグレードの「フィットRS」を設定している。シビックの場合も同様で、RSをスタンダードの新グレードとして追加する予定のようだ。

RSのエンブレム
RSのエンブレム(筆者撮影)

シビックRSの詳細は、プロトタイプのため未公表となっている。現在、わかっているのはミッションに6速MT(マニュアル・トランスミッション)を搭載する予定ということ。サスペンションやブレーキなど足まわりも専用設計とすることで、スタンダード車以上の爽快な走りを楽しめる仕様にするという。

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