車はスピティバレーへ続くヒマラヤに聳え立つ山崖の、人為的に削り取られて作られた狭い土道に差し掛かる。
前方を走る車を見ると、険しく切り立つ崖にプレッシャーをかけられながら、谷際ギリギリの道をゆっくりと進んでいる。
一台がなんとか通れるほどの車幅にもかかわらず、道は左右にうねる。さらに、崖下に木々はなく、落ちたらそのまま数百メートル下にある谷底にズドーンだ。
「命の境界線」を綱渡りしているかのように…
「ドライバーが運転ミスを起こすのではないか」という妄想を抑え込もうとするが、人間の感情はそんなに単純なものではない。
車は「命の境界線」を綱渡りしているかのごとく、ゆっくり、ゆっくりと進んでいく。
怖いもの見たさで、窓下を覗き込むと、谷際スレスレを走る車のタイヤが見えた。
谷際ギリギリを走る(写真:筆者撮影)
そして、遥か遠くに、ミミズくらいの小さなパステルブルー色の川が見えた。
「あー、あれが、三途の川と呼ばれるものか」
そんなことさえも考える。
なにしろ、落ちたら確実に死ぬ。
やがて、ここまでの道のりで、最もきつい角度のカーブに差し掛かった。
*この記事のつづき:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【中編】
*この記事のつづき:「世界一危険な道」をTVマンが歩いてみた【後編】
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