4月に日銀が利上げをすると一体どうなるのか いよいよ金融政策の転換のときが迫ってきた

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もっとも、日本では「2%インフレ目標は高すぎる。もっと柔軟な目標にすべきだ」といった、筆者には理解しがたい見解も耳にする。だが、こうした論者は少数派と見られる。仮に、2%物価目標に関するコミットを岸田政権が緩めたりすれば話は変わるが、岩田規久男元副総裁が、かつて就任前に「デフレの番人」と皮肉ったような失政を、日銀が再び繰り返す可能性は高くないように思われる。

以上を踏まえると、筆者は、日銀による金融政策の転換が迫り、そして何らかの経済ショックがあっても、「2000年代のように、経済停滞とデフレに戻るリスクは限られる」と予想している。もちろん、日本経済は依然として盤石とは言えないため、「現時点での日銀の政策転換は時期尚早」と判断する識者も少なくなく、筆者の見方はやや楽観的かもしれない。

だが、黒田前体制が実現させた金融緩和政策の成果によってインフレを取り巻く環境が大きく変わる中で、それに応じて金融緩和政策の度合いを、弱めるのは自然だ。なお、筆者は、欧米の中央銀行のように政策金利をゼロ以上、つまり0.25%などに引き上げるには、より高いハードルが必要であり、現時点では条件は満たされてないと考えているが、この点については機会を改めて述べたい。

「円安の追い風」はかなり弱まる可能性

予想される日銀政策転換は、2000年代のように失政となる可能性は高くない。ただ、今後日銀が金融を引き締めるいっぽう、FRB(連邦準備制度理事会)が緩和する、という非対称性がはっきりするため、これまでの「円安の追い風」はかなり弱まるだろう。

2022年から現在まで続いている円安が、日本株高を後押し続けているのは紛れもない事実である。だが、日銀の政策転換が予想される4月以降、様相は変わるのではないか、と筆者は考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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