「杉並区初の女性区長」撮った映画が共感集める訳 Xでも「やっと入れたの声」、異例のヒットが続く

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『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編にあたる『香川1区』(大島新監督)、昨年公開の『劇場版センキョナンデス』(プチ鹿島&ダースレイダー監督)、『NO選挙、NO LIFE』(前田亜紀監督)も、ドキュメンタリー映画の界隈で注目を集めた。だが、『区長になる女。』はこれら作品とはまた違ったウケ方をしているようだ。

「客層が重なるところはあるでしょうけど、『選挙』や『政治』というくくりはちょっと違うような気がします。なにより、これは中央の話ではない。東京ではあっても杉並という一地方の話で、これはどこの地方にも当てはまる出来事だと思うんです。

しかも政治に絶望してきた人たちに希望を感じさせるということでは、これから地方での公開が続いていったときに面白い現象になっていくように思います」(大槻さん)

映画のポスターを背中にかけて宣伝

こうした反響に対して、本作監督のぺヤンヌさん自身はどう見ているのだろうか。

「皆さんそれぞれで、ネットの番組で知りましたとか、杉並の友達に誘われてとか、いろいろなきっかけで足を運んでくださったようです。仙台から来ましたという人や、近所のお宅の壁に映画のポスターが貼られているのを見て、という人などさまざまです」

杉並区区長
ペヤンヌマキさん。劇作家。これが初めてのドキュメンタリー映画作品。劇中歌は黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)が歌う。(写真:筆者撮影)

ぺヤンヌさんの本作の宣伝スタイルも、演劇活動で培った「手作り」で、実に独特だ。取材をした当日は舞台挨拶が行われた日だったが、舞台挨拶用に映画のポスターを貼った段ボールを背中にかけて劇場まで来たという。

「家から商店街を歩くだけで、『いまやっているよねぇ』とか、総武線の電車の中でも『ああ、区長の』と声をかけてもらえたので、びっくりしました。選挙もそうですけど、自分ひとりでもやれることはなんだろうかと考え、行動しているところを発信するのがいいんじゃないのかなと思ってやってみました」(ペヤンヌさん)

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