「恋愛弱者」の中年独身男性が増える残酷な原因 恋愛強者が未婚のまま残り続けることの影響

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その証拠に、年代別の男性の年齢別初婚数を見ると、その傾向が如実にあらわれています。

20-24歳では1995年をピークに減少していますし、25-29歳も遅れて2000年を境に急減しています。1995年時点に20-24歳だった恋愛強者男性が29歳になっても30歳になっても未婚のまま「強者の無双」状態を繰り返していると考えられなくもないでしょう。

もちろん、ここには恋愛力だけではなく、経済問題も複合的にからんできます。女性は、恋愛するだけなら相手の年収など気にしませんが、こと結婚となると話は別です。恋愛強者の男性だけが好き勝手やっているというわけではなく、女性が結婚対象として相手を見たときに「この人ではない」とフラれてしまう「モテるけど経済弱者」もいることでしょう。

マッチングアプリは救世主ではない

昨今、マッチングアプリなどでの婚活が、今の婚姻減の救世主かのようにもてはやされていますが、私はそうは思いません。確かに、そうしたサービスでの初婚割合は増えていますが、とはいえ全体の初婚数が激減している中で割合を増やしているだけです。

もっといえば、マッチングアプリは「街のナンパのデジタル版」でしかなく、リアルでモテる人だけが相手を見つけられる代物です。恋愛強者からすれば、わざわざ街まで出かけてナンパせずとも、自室のソファの上で次々とアプローチができるのだから便利この上ないツールでしょう。

恋愛強者が循環せず、30歳を過ぎても、下手すれば40歳になっても、「独身のまま」恋愛強者に居座り続けることで、恋愛強者の婚姻率も減るだけではなく、順番を待っている残りの7割にはいつまでも出番が回ってこないという残酷な展開に陥ります。

これが、今の日本で中年独身男性が増え続けている「身もふたもない現実」なのではないでしょうか。

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荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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