また、海外で利用するためのローミング専業キャリアが増えており、海外旅行、海外出張時にこれらをデュアルSIMで使うことで、料金を節約できる。一例を挙げると、ドコモ、au、ソフトバンクではそれぞれ24時間につき980円程度の料金がかかる。これに対し、ローミングキャリアのAiraloは、アメリカなら1GBが4.5ドル(約665円)、5GBでも16ドル(約2368円)。1週間程度の滞在であれば、数千円の差になる。デュアルSIMであれば、日本の電話番号で電話を受けつつ、こうしたローミングキャリアでデータ通信することが可能だ。
ちなみに、通常の端末は、SIMカードとeSIMの両方でデュアルSIM化するため、組み合わせを考える必要がある。メインの回線がSIMカードだった場合、追加する回線はeSIMにしなければならない。逆もしかりで、メインにしている回線がeSIMの場合、追加する回線はSIMカードである必要がある。ただ、会社によっては物理的なSIMカードを発行していない場合がある。海外で利用するローミングキャリアがそれだ。この場合、メインの回線をeSIMにしていると、それをオフにしなければならない。逆に、現地で買ったプリペイドSIMがSIMカードだけという場合、メイン回線がSIMカードだと同時利用ができなくなってしまう。
この組み合わせを柔軟にできるのが、「デュアルeSIM」に対応した端末。デュアルeSIMのスマホは、SIMカードとeSIMだけでなく、eSIMとeSIMの組み合わせでもデュアルSIMになる。現状、このデュアルeSIMに対応しているのは、Pixel 7以降のPixelと、楽天モバイルの専用モデルである「Rakuten Hand 5G」のみ。選択肢は非常に限定されているが、AndroidでデュアルSIMをフル活用したい際にはこうした端末を選択するようにしたい。
電話番号ごとに鳴らし分けられる着信音
2つの電話番号を使い分けることができるのも、デュアルSIMの魅力だ。仕事用とプライベート用の電話番号を別にして公私をきっちり分けたり、店舗の会員登録やアンケート等に答える際に登録する電話番号を別のものにしておいたり、SMS認証が必要なサービスのアカウントを2つ作ったりと、さまざまな用途に活用できる。こうした用途で利用する際に便利なのが、回線ごとに着信音を鳴らし分ける設定だ。
Androidスマホの中には、このような機能に対応している機種と、対応していない機種がある。例えば「Galaxy Z Fold5」の場合、「設定」の「サウンドとバイブ」で「着信音」や「通知音」を選択すると、回線ごとに音を設定することができる。メイン回線とサブ回線を別々の着信音にしておけば、音を聞くだけでどちらに電話がかかってきたかがわかるというわけだ。どちらの回線への着信かは画面にも表示されるが、異なる音にしていたほうが直感的に判断しやすいだろう。XperiaやOPPOのRenoシリーズなど、幅広い端末がこうした機能を備えている。
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