石巻が復興する日まで頑張りたい--宇都宮の中小企業経営者らが超長期の支援活動
「とにかく暖かいものを食べさせてあげたい」。そんな一心で、青木さんは宇都宮市内で支援物資を集めた。取引先が提供してくれたガスボンベや食材、水、毛布、トイレットペーパーなどを持ち込み、校長の許可を得て3月19日から21日にかけて石巻中で炊き出しを開始。かんぴょうの入った味噌汁やうどん、豚汁を避難していた住民にふるまった。
そうした中、避難していた住民と話すうちに、「とりわけ下着が必要とされていた」と青木さんは気づく。そこで、再び宇都宮に戻るや否や、地元の新聞社やテレビ局、FMラジオ局を通じて「下着1000着が集まったら再び救援活動に出発します」と呼びかけた。するとわずか2日で1200着が集まった。そして下着と食材を積み込んで再び石巻中へ。この間の活動には、宇都宮の経営者仲間や取引先、近所の主婦らが協力した。
こうした活動を続けるうちに、青木さんは石巻に拠点を設けて支援活動を継続することが必要だと判断。REX専務の鈴木さんを理事長、青木さんを専務理事にして「石巻復興サポートセンター」を設立した。
現在、4人のメンバーが民家の床下からの泥出しや地震で被害を受けた家屋の瓦落とし、遺品探しや日本赤十字社から届けられた電化製品を2階に上げる作業など、地域住民に求められた支援活動を続けている。
石巻市に住む佐々木之博さん(44 写真中央)も、石巻復興サポートセンターのメンバーの一人だ。佐々木さんは東松島市にある勤務先の工場で大地震に遭遇。民家の屋根で一晩を過ごし、大津波を生き延びた。そして命からがら、石巻の自宅にたどり着く。青木さんとは石巻中で避難生活をしているさなかに知り合った。
会社をやめてメンバーに加わったのは、「わざわざ遠くから助けに来てくれている人がいるのだから、自分も頑張らなければと思ったことがきっかけだった」と佐々木さんは語る。「大規模半壊ではあるけれど、幸運にも自宅は残っている。これからは被災者を助ける側に回りたい」(佐々木さん)。