カワサキ「ニンジャZX4-RR」中型4気筒復活の息吹 扱い切れるミドルクラスのスーパースポーツ

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1980年代の400cc戦国時代を知るライダーにとっては、「高回転高出力」は合言葉のように唱えられ、乗りにくさも美学であったようにも思い出される。

しかし、現代技術の粋を集めたZX-4RRは、インジェクションにフライバイワイヤー技術、ラムエアシステム等の高性能吸気システムに、徹底的に効率化が図られた排気システムなど、さまざまなテクノロジーがガソリンの1滴も無駄にしない完全燃焼を目指すことで、性能と環境問題を乗り越え、最高技術故に乗りやすいマシンに仕上がっていることをZX-4RRが教えてくれたようだ。

乗り手を選ばないスーパースポーツ

400ccのミドルクラスとしては、久々の4気筒モデルということもあり、大きな注目を集めているZX-4RR
400ccのミドルクラスとしては、久々の4気筒モデルということもあり、大きな注目を集めているZX-4RR(写真:三木宏章)

1995年の免許改正以降、大型自動二輪免許は教習所での取得が可能になり、多くのライダーは最高峰を求めてリッターバイクへ移行してきた。一世を風靡した400ccミドルのスーパースポーツは、コスト高のマシンとしてメーカーラインナップからはずれ、いつしかその人気は最大排気量へ移行していたのだ。しかし今回、ZX-4RRをリリースしたカワサキは、本当のバイク好きがバイク好きに向けたマシンをしっかりと作り込んできたと改めて感じずにはいられない。

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ZX-4RRは、取りまわしの良い軽量コンパクトなマシンでビギナーライダーでも十分に操れるだろう。一方、仕上がりの良さが、名車を乗り継いできたベテランライダーをも唸らせることは間違いないはずだ。現代の最新技術が400ccミドルクラスのマシンに新しい息を吹き込んだ。

スーパースポーツ・ニュージェネレーションがカワサキZX-4RRだ。

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宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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