将を射んと欲すればまず女子高生を射よ:シーブリーズの噴水戦略《それゆけ!カナモリさん》

 ターゲットを評価するには「5R」という考え方を用いる。Realistic Scale(規模), Rate of Growth(成長性), Reach(到達性), Rival(競合状況), Rank& Ripple Effect(優先順位と波及効果)という検証ポイントの頭文字5つのRだ。

シーブリーズの場合、Rank&Ripple Effect(優先順位と波及効果)において、制汗剤で主使用層として女子高生を優先し、そこからその母親に波及させた。日焼け止めにおいても同様の展開を意図しているのだ。

「シーブリーズUVカット&ジュエリー」の今後の課題は、記事にある「噴水効果」を実現することだ。40代母親層が選択する日焼け止めは、機能性やブランドなど様々な切り口で多数の商品が存在する。その中で、「娘と一緒」「青春の日々に使ったブランド」など刺さるKBF(Key Buying Factor)を訴求していくことがキモとなる。しかし、そこでDMU(Decision Making Unit=購買関与者)としての娘・女子高生をうまく動かすことが欠かせない。

「娘の使う商品のついで買い」ということは、娘にとっては自分の小遣いで買うのではなく「母親に買ってもらえる」ことを意味する。せっかく4種の香りがあるのだ。「毎日の気分によって使い分ける」ことなどを流行らせ、母親に「大人買い」させて、使用を習慣化させることなども有効だ。

うまくすれば、大人買いしてくれるお金を出す母親をユーザーとして取り込むには、「将を射んと欲すればまず馬を射よ」だ。いかに女子高生を今以上のファンにさせ、母親に働きかけをさせるかがカギとなるだろう。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2011年7月1日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。

 

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