福島・飯舘村の全村避難が最終局面、3郵便局と村内唯一のスーパーが一時休業に
東京電力福島第1原発事故に伴う計画的避難地域指定を受けた福島県飯舘村では、全村避難が最終的局面を迎えた。
6月22日、村役場は福島市飯野地区に移転したが、7月1日には村内にある3郵便局のほか、郵便の集配センターも一時休止する。また、村内唯一のスーパーマーケット「Aコープ」も1日から一時休業となる。村の生活インフラが休業となることで、一部村内に残っている村民も村外に転居することになりそうだ。
日本郵政グループは、今回の原発事故による避難地域内での事業展開について、地元自治体と協議し、対応策を決定することを基本的スタンスとしてきた。飯舘村についても、飯舘村役場が福島県飯野地区に移転した6月22日になって、村内の郵便局窓口業務と、集配業務の休止について、村内の全戸に説明資料を配布した。7月2日以降、郵便物の取扱いについては、転居届、避難先届を提出した住民には転居地などに配達する。そのため、各郵便局、集配センターなどでは、各種届出の提出を懸命に求めていた。
3郵便局のひとつ、飯舘郵便局の渡邉仁・局長(=下の写真=)は6月29日、「明治16年5月に開業し、長く業務を行ってきた郵便局を一時休止とはいえ、局を閉じるのは大変に残念なこと」と苦渋の胸中を語ってくれた。この間の窓口業務を継続してきたことについて「地域の皆さんが困っているとき、我々、郵便局の職員はここにとどまって業務を続けないといけないという気持ちだった」と語る。
計画的非難地域の指定を受けたように、村内では放射線容量が高い。そのなかで配達業務を行う郵便事業会社の職員について、「長い距離を配達のために外を走るので大変だと、窓口に訪れた住民の方が心配してくれた」という。また、この間、農業を営む住民が窓口を訪れても「今年は米を作れない。花もタバコもできないとこぼしながら帰っていくことが多かった。一日も早く避難措置が解除され、みなさんが戻って再び作付けができて、郵便局を再開できることを願っている」。
今回の郵便局、Aコープの一時休止によって、村内で営業している商業施設はガソリンスタンドだけとなった。しかし、国による例外措置で村内8工場が生産活動を継続し、特別養護老人ホームもそのまま、業務を続けている。さらに、全村避難後の村内の防犯対策として370人ほどの住民が昼夜、村内をパトロールする体制が作られており、商業施設の必要性がなくなったということではない。住民の避難が進捗したことは事実だが、飯舘村が直面した問題が片付いたわけでもない。
(浪川 攻 =東洋経済オンライン)
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