韓国大統領が「岸田首相愛」をほとばしらせるワケ 1日でも長い岸田政権継続を願う尹錫悦

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岸田首相が不文律を破ってまで対応した背景には、徴用工問題に加え、東京電力福島第1原発の「処理水」への尹政権の対応もあった。韓国社会で強い反発が出ているにもかかわらず、尹政権は放出に理解を示し、厳しく批判する中国と対照的な反応をみせた。

BIE総会は、165カ国のうちリヤドが1回目の投票で119票を獲得。これに対し、韓国国内では「接戦」が伝えられていた釜山は、わずか29票で惨敗した。しかし早い段階から、しかも自身の口から「釜山支持」を打ち出した岸田首相の思いは十分に伝わり、両トップの信頼関係はさらに強まったと言えるだろう。

こんな経緯を踏まえ、7度の首脳会談をこなした日韓両国。2023年を無事に終え、2024年もさらなる関係強化を、と期待していた矢先、日本で自民党安倍派などの政治資金に関する疑惑が持ち上がり、事件にまで発展した。

「岸田政権支持率低下」に衝撃

2023年12月、毎日新聞の世論調査では岸田内閣支持率が前回調査より5ポイントマイナスの16%と10%台に落ち込み、政権発足以来最低を2カ月連続で更新。ほかにも内閣支持率は10%台という世論調査があり、これによりソウルの大統領室や外交省、在京の韓国大使館に衝撃が走った。

日本のメディアでポスト岸田に向けた動きや岸田政権の行方が取りざたされる中、韓国政府も調査を進めた。これまで比較的、韓国に厳しい態度を示してきた有力政治家が、事件の表舞台ともいえる安倍派に属しているケースが多いことは、韓国側にとって悪い状況ではなかった。

徴用工問題で当時の安倍晋三政権が韓国に対し、半導体素材の輸出規制を強化した事実上の経済制裁は、韓国政府の解決策発表に伴い解除されることが両政府間で決まっていたが、解除に最後まで難色を示した経済産業相だった西村康稔氏や、萩生田光一・前政調会長らに対しては、韓国側は政治資金疑惑が浮上する前から警戒を抱いていた。

これに対し、次期首相にふさわしい人物を聞く調査の常連である石破茂・元幹事長や上川陽子外相は、韓国側にとっても親しみの持てる政治家だった。

徴用工問題が燃えさかっていた2020年1月、石破氏が韓国の有力紙『東亜日報』のインタビューで「首相になれば、韓国の歴史をもっと勉強したい。日本人が自ら過去の責任を明確に検証しなければならない」と語ったことは、今も韓国政府の対日外交担当に、強い記憶を残している。

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