
戦う前に相手の戦意を喪失させる
戦国時代、名前を聞くだけで相手を震え上がらせた集団がいました。
「武田の赤備え」──武者の甲冑や鎧、刀の鞘、鞍や鐙などの馬具に至るまで、すべてを朱一色に染めた武田信玄の武士団です。戦場に赤備えの騎馬隊が現れると、敵は恐怖に震え、刃を交えるどころか我先に逃げ出したという話もあるほどです。
しかし、この無敵伝説は、武田信玄の事前につくり上げたイメージ戦術の賜物でした。
実際、赤備えの部隊は武田軍の中でも精鋭を選抜して結成されており、合戦でも強かったといわれています。朱色は戦場でも目立つため、朱色=強いというイメージが刷り込まれていき、戦場に現れるだけで、ついには相手は逃げ出すようになったのです。
信玄はこのイメージをうまく利用して、戦わずして勝つ戦術を確立したのでした。
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