四重苦のロシア、「宇宙計画」で中国と協力拡大へ 中露の情勢不安定化が宇宙における冷戦へ結びつく

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ウクライナ侵攻を契機として、ロシアは西側の経済制裁やエネルギー価格の下落に直面し、関係予算がより縮小する中で、軍事的な能力の維持や向上に資源投資を優先しなければならないため、宇宙探査や科学的な宇宙活動の進歩、さらに商業や産業面からの宇宙への取り組みに後れが生じるのは必至です。

それはロシアが西側からの制裁、体制の腐敗、高齢化、肥大化という四重苦に苦しむ中、同国の宇宙計画が大きな岐路に立つことを意味しています。

中国──軍民融合による技術革新

中国の宇宙開発は、1956年、毛沢東国家主席が掲げたスローガン「両弾一星」の下、国家的なプロジェクトとして始まりました。「両弾一星」とは、原子力爆弾(後に水素爆弾)、その運搬手段としてのロケット(「両弾」)と「一星」(人工衛星)を指します。そして1970年には、中国は、世界で人工衛星を軌道に乗せた5番目の国家となるまでに成長しました。

中国の宇宙計画の特徴は、対外的には国際的威信の誇示、国内的には愛国心の高揚という点にありますが、その背景には、自国の安全保障環境の変化への適合と現代の戦争の進化への対応を客観的に見据えた現状認識があると思われます。

歴史的に中国人民解放軍(PLA)の作戦構想は、大規模な兵士の動員と総力戦の準備を中心とする陸軍中心的な用兵思想に基づいていました。しかし米国が主導する、ネットワーク化による統合作戦を特徴とする「砂漠の嵐(Operation Desert Storm)」(1991年)や、空軍力が決定的な役割を果たした「同盟の力(Operation Allied Force)」(1999年)を目の当たりにして、党指導部と人民解放軍幹部が受けた衝撃は大きかったと言われています。

その教訓を受けて中国は、従来の戦い方からの脱却を図り、陸海空の統合作戦に加えて、宇宙、サイバー、電磁波領域を組み合わせて、広大な戦闘領域で戦うことができる近代的な軍隊への転換を図ることになりました。

その過程で、近代的な軍事作戦を行なうために、宇宙を新たな「戦略的高地」と位置づけ、宇宙における軍事的優勢を獲得することが最重要課題の一つとなったのでした。

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