ゆで太郎、丼スタイルで「のり弁」を提供するなぜ 令和に甦った、素朴で美味しい昭和ノスタルジー

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ゆで太郎にはコアなファンが多く、中には1日2回、3回と来店する人もいるといいます。現在は2500人ほどの会員を擁するファンクラブもあります。当初は私設だったのですが、現在は池田社長自らが管理人を務める公認状態です。メンバーはさまざまで、一般の主婦から大学教授、オリンピックのメダリストもいるとのこと。

季節メニューも人気商品の1つです(ゆで太郎公式Webサイトより。写真は記事執筆時のもの)

ファンクラブの意見が店舗運営に反映されたケースもあるそうです。例えば、セットメニューのコロッケを大根おろしに、かき揚げをワカメに変更できるようにしたのはファンクラブ会員の意見から。特に朝の時間帯には揚げ物を食べたくない人もいるようで、それなりに変更するケースがあるそうです。

シンプルなメニューでコアなファンをつかむ

池田社長はそばについて「うどんやラーメンのように、比較的どんなものにも合う食べ物ではない」と話します。つまり、アレンジの幅が少ない、シンプルな食べ物がそばなのです。そのシンプルな商品で戦いながら、こうした多数のコアなファンを獲得するゆで太郎には驚かされます。

同様にシンプルな立て付けで長らく愛され続けているのが、のり弁でもあります。前述したように、既存商品のブラッシュアップを欠かさないゆで太郎ですが、もはや「完成形」にも思えるミニのり弁をリニューアルする予定はあるのでしょうか。

池田社長によると「のり弁は、ほっかほっか亭がかつて発売してから40年以上もメニューが基本的に変わっていない怪物のような商品」とそこまでリニューアルの余地がないことを指摘しつつ、細かい点として国内の原材料への切り替えなどを検討しているといいます。シンプルな商品を洗練しながら成長を続けるゆで太郎とシンプルがゆえに支持され続けるのり弁の今後から、目が離せません。

チェーン店至高のいぶし銀メニューを尋ねて
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鬼頭 勇大 フリーライター・編集者

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きとう・ゆうだい / Yudai Kito

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

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