太陽光エネルギーで本当に代替は可能か--リチャード・カッツ


 それに代わって、菅首相は太陽光や風力、地熱など再生可能なエネルギーの開発を加速させようとしている。同計画では、再生可能エネルギーのシェアを07年の9%から30年には21%に引き上げることになっている。菅首相は、その目標を20年代初めに達成すると主張している。批判的な人々は、最初の目標が非現実的なうえ、将来の技術開発を考えれば、新しい目標はそれ以上に非現実的である、と言っている。

たとえば、同計画は30年までにネット・ゼロ・エネルギーの住宅や商業ビルを実現することを求めている。ネット・ゼロ・エネルギーの住宅とは、電力消費を太陽光発電などで発電した量以下にする建物である。

日本は大量の古い住宅やビル、店舗を取り壊して、新しいネット・ゼロ・エネルギーの住宅やビルを本当に建設しようとしているのだろうか。太陽電池は通常の電力源よりもコストが高いだけでなく、広いスペースも必要である。たとえば、新大手町ビルの屋上と壁全面に太陽電池を設置したとして、必要な電気のどれだけを賄えるのだろうか。

大震災はサプライチェーンの断絶も引き起こした。4月の米国工業生産高が0・4%減少したのは、日本からの自動車部品や電子部品の供給が途絶えたことが主因だった。

すでに海外の顧客は、リスクを分散するために海外に工場を建設することを日本企業に求めている。そうした日本企業には、半導体用のマスクブランクで世界シェア80%を占めるHOYAや、マイクロコントローラーで世界シェア40%を持つルネサスエレクトロニクスなどが含まれる。それら製品の製造が海外にシフトすれば、日本の経済成長に重大な影響が及ぶおそれがある。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

(週刊東洋経済2011年7月2日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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