「運動神経」を向上させる脱力トレーニングとは? 身体の力みを解消すればケガも防げる

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センサーの感度が重要なのは、スポーツ選手に限りません。たとえばこんな経験はありませんか?

・自分では足をしっかり上げて歩いているつもりだったのに、なにもない平坦な道でつまずいてしまった

・まっすぐ立っているつもりなのに、写真で見ると傾いていた

・気づいたら肩や腰が緊張していた

さまざまな原因が考えられますが、こういったことに身体の力みが大きく関与している可能性は高いといえます。

呼吸はパフォーマンスに大きな影響を及ぼす

最後に3つめの弊害について解説します。

<弊害3>呼吸が浅くなり、さらに緊張を高める

ご存じのとおり、肺には筋肉がないので、自ら膨らんだり、しぼんだりすることができません。そのため、私たちが呼吸をするときには肋骨やその周囲にある筋肉、そして横隔膜を動かすことで空気の出し入れをしています。

横隔膜が収縮して下がると、胸郭(肋骨などで囲まれた部分)が膨らみ、肺の中に空気が入って息を吸うことができます。反対に、横隔膜が緩んで上がると胸郭がしぼみ、肺の中の空気が出て息を吐くことができます。これが呼吸のしくみです。

ストレスにさらされている現代人は、さまざまな原因による緊張によって横隔膜や肋骨の動きが制限され、「呼吸が浅い状態」にあります。

浅い呼吸状態だと酸素を取り込む能力が低下して、疲労回復能力が落ちます。さらに副呼吸筋といわれる肩や首の筋肉を使って呼吸しようとすることで、肩こりなどを引き起こします。

呼吸が浅い状態とは、簡単にいうと、気持ちよく深呼吸ができない状態です。吐くときに吐ききれない感じや、吸うときに詰まる感じがあれば要注意です。

また、深い呼吸をすることで横隔膜や腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋(この4つを合わせてインナーユニットといいます)を働かせ、腹圧を高めることができます。

腹圧とは腹腔内部にかかる圧力のこと。これを高めることができれば、筋肉に頼らずともコルセットのように体幹を安定させることができます。

また、腹圧により体幹が安定することで、腕や脚を動かす際の土台としての機能が向上します。つまり、腰などに過剰な緊張を生み出すことなくしなやか、かつパワフルな動きができるメリットが得られるようになるのです。

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