お金・偏差値…「数字に振り回されてる人」の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【前編】

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近内:僕らは社会的な動物なので、自分が「あるべき姿」からズレていることに、ものすごい疎外感を覚えてしまうんですよね。だから、恥ずかしいことですよとか、危険ですよって言われると、ついつい買っちゃうわけですよ。

物が飽和しているので、Webサービスのように、よりドーパミンが出るような依存性がある物を企業も作るわけです。

豊かに生きるためには愛が必要

田内:でも、どうすれば不安に惑わされなくなるんでしょう。

近内:本を読むことです。僕は、本を読むことは愛であり、相手の大切なものを大切にすることだと思うんですよ。

田内:どういうことですか?

近内:自分のキャパシティを超えている本を読むときって「意味がわからない」ってなることもあるけれど、何が言いたくてこの本を書いたんだろうとも考えますよね。

著者の思いを理解するためには、著者が大切にしている思いを自分も大切にするために、自分自身をアップデートしないと読めないわけです。

だから、自分のキャパシティでは読めなかったテキストを読むことは、相手が大切にしていることを、大切にすることだと思います。ちなみに僕はそれを「ケア」と定義しています。その他者の大切にしているものをともに大切にすること、それがケアだと。

だから本を読むことで自ら変わることができるんですよ。ひとに無理やり変えられてしまうんじゃなくて。ケアすると自己変容が起こるんです。そんな、ケアから始まる自己変容を愛と呼ぶんじゃないでしょうか。

田内:なるほど。

近内:僕はウィトゲンシュタイン哲学をテーマにしているから、ウィトゲンシュタインは何を見てたんだろう、何が言いたかったんだろうと考えます。これって恋と同じじゃないでしょうか。思いを寄せる相手を理解するためには、手持ちの認識や世界観では太刀打ちできない。だからつねに自己変容を目指すことになる。研究者もそうで、さかなクンだって、魚を愛しちゃってますもんね。

田内:たしかにそうです。僕も宮台真司さんの本を読みながら、宮台さんに恋しちゃってましたね。

近内:それが「奥ゆかしい」ということです。奥ゆかしいって「知りたい・見たい・聞きたい」ってことで、この人の奥には何があるんだろうって考えることなんです。

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