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お金・偏差値…「数字に振り回されてる人」の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【前編】

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  • 田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家
  • 近内 悠太 教育者、哲学研究者
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近内:外部に物を売るとお金が増えたり減ったりするけど、内部で助け合うときにはお金は増えも減りもしないっていう話、田内さんの小説の中にありますよね。結局、数字ってどうしても対外部のもので、絶対身内には発生しないんですよね。

田内:恥ずかしい話をするんですけどね、自分の書いた本についてどう思っているのかを、今まで怖くて家族には聞けていなかったんです。

でもあるとき、テレビ出演時の身だしなみをダメ出しされたときに、「せっかくあなたいいこと言ってるんだからさ」って言ってくれて。僕、嬉しくて泣いちゃって。

近内:田内さんって本当に素直な方ですね(笑)

田内:書いたものがどれだけ読まれたとか、順位とか、かなりどうでもいいことに感じて。身近な人にどう思ってもらえるか、どんな影響を与えてるかのほうが、はるかに大事だなと実感しました。

さっき「今この瞬間の幸せが大事」って話が出たんですけど、時差があったとしても、気づかぬうちに誰かに何かが伝わることもあると思います。

そういう経験があると、数字に振り回される生活がリセットされるような感覚になりますね。

不安ビジネスに振り回されている私たち

田内:日本の経済が停滞していた「失われた30年」と呼ばれる時代がありますよね。当時は、物が足りなくて我慢するのが当たり前で、物があったらラッキーな不足経済でした。その時代は、物を作ればいくらでも売れた。

でも今は、経済が成熟して物が十分にあふれてしまって、企業は不安をかきたてる「不安ビジネス」をするしかなくなっているように思うんです。

中学受験もその一例で、進学塾の説明会で話を聞くと不安をかきたてられて、私立中学に行かせなきゃって思えてくる。

近内:塾サイドはそういうトークをするでしょうね。

田内:不安を感じないためには、世の中が自分に不安を与えようとしている前提で、情報を受け取る必要があると感じています。

近内:電車で「脱毛しましょう」とか「この本が売れています!」って広告を見ると、恥や不安を煽られて騙されちゃうんですよね。

でもそこで、それがほんとうに自分に必要なものなのか自問できたらいい。だってぼくらは見ず知らずの数万人と一緒に生活しているんじゃなくて、身近な人とともに生きているんだから。よくわからない「空気」とか「世間」じゃなくて、生活の実感とか身近な人たちとのやりとりを基盤にして考える必要があります。

田内:不特定多数の人たちの評価ではなく、身近な人の言葉を意識すると、振り回されずにいられますね。

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【「あるべき姿」からズレていることに疎外感を覚える】

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