中国の「石炭輸入量」、2023年に6割超増加の背景 関税免除と国際相場下落で国内炭との差が縮小

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中国が輸入する石炭はインドネシア産やオーストラリア産が主力だ。写真は粉塵飛散を防ぐドーム状の屋根が設けられた広東省の輸入炭専用埠頭(運営母体の塩田港のウェブサイトより)

中国の石炭輸入量が大幅に増えている。中国海関総署(税関)が1月12日に発表したデータによれば、2023年の石炭輸入量は過去最大の4億4700万トンに達し、前年より61.8%も増加した。これまでの最高記録は2013年の3億2700万トンだった。

輸入量急増の背景には、石炭の国際相場の下落や(2020年12月から約2年間停止していた)オーストラリア産石炭の輸入再開がある。輸入単価の下落を反映し、金額ベースで見た2023年の石炭輸入総額は前年比24.1%増の529億6600万ドル(約7兆6798億円)だった。

需要家の優先順位に変化

石炭の国際相場は、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の直後から急騰。中国政府は国内のエネルギー供給の安定を図るため、同年5月から石炭の輸入関税を免除した。

その後、石炭相場への戦争の影響は徐々に緩和し、2023年に入ると国際市場のスポット価格が急落。同年に中国が輸入した石炭の平均単価は1トン当たり111.65ドル(約1万6189円)と、前年より2割近く低下した。

「輸入関税の免除に輸入炭の価格下落が加わり、国内炭との調達コストの差が縮まった。その結果、(大口の需要家である)火力発電所の石炭消費の優先順位が、まず長期契約の(国内産の)石炭、次に安くなった輸入炭、最後にスポット調達の国内炭という順序に変わった」。ある証券会社の石炭業界担当アナリストは、そう解説する。

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