表面的に羽振りよく見える人にも貧乏の影は迫る お金、時間、知識、信頼の収支のバランスが重要

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もちろん先進国の住民たちに発展途上国の人々の勉強不足を責める資格はない。発展途上国では、母国語で利用できる情報サイトや基礎的な保健衛生教育へのアクセスが限られているためだ。先進国の住民も、もしその国に生まれていなければ同じ罠から抜け出せなかっただろう。

不明確な目的がもたらす「貧乏の罠」

このように、どんな人でもお金、時間、知識、信頼の収支のバランスを崩すことで貧乏から抜け出せなくなってしまう危険がある。

たとえば「借金はどんな種類のものでも怖い」という思い込みから貸与奨学金を忌避するあまり、大学を休学しながら学費を稼ぎ、新卒就職において不利な立場に追いやられて生涯年収をふいにするといった失敗はよくみられる。

あるいはSNSとゲームとカメラくらいにしか使わない(それ以外の機能はそもそも使えない)のに「最新機種でないと恥ずかしい」という思い込みから、新作のハイスペックスマートフォンを毎回発売直後に買い、割賦金の支払いにいつも追われているという例もよくみる。

また、高給取りの頭脳労働者が「デキるビジネスパーソンとして家事・育児も自分でやらなければいけない」という思い込みから、睡眠時間を減らしてまでそれらに奔走している例もある。

こうした人は家事・育児の少なくとも一部を外注した方が仕事の生産性も上がり、外注費以上に稼ぐことができるのに、貧乏の罠にはまる。

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