東京海上、過去最大級の買収ではじく皮算用 9400億円で手に入れる米保険会社の実力は?
東京海上ホールディングスが10日、本邦の金融機関として過去最大級の大型M&Aを発表した。米国の保険会社HCCインシュアランス・ホールディングスの上場全株を現金75億3000万ドル(約9400億円)で買収する。
友好的な買収であり、HCCの株主総会と関係当局などからの認可・承認を取得後、今年の10~12月の間に手続きを完了する見込み。エクイティ・ファイナンスは行わず、資金は手元資金と借り入れで賄う方針だ。
HCCは、一般の保険ではカバーされないような特定のリスクを対象とし、専門性の高い保険引き受け力や技術力を必要とするスペシャルティ分野に特化した保険会社。医療・傷害保険、会社役員賠償責任保険、農業保険など100種類以上の保険種類を取り扱っており、米国のほか、英国やスペインなどでも事業を展開している。
買収会社の利益は過去10年で平均2ケタ成長
HCCは過去10年間に税引き後利益を年平均で11.1%伸ばしており、また収益の安定性、財務の健全性にも優れている。東京海上は常時20から30社程度の会社を買収候補としてスクリーニングしており、HCCもこのリストの中に入っていた。
記者会見した永野毅社長は「HCCは世界トップクラスの保険会社として知られており、ずっとフォローしていた」と今回の買収に至るまでの経緯を説明。「地理的、事業的に分散を効かせることによって、国内、海外が相互に支え合って、収益をさらに安定させる」と買収の意義を強調した。
東京海上は、国内よりもさらに高い成長が期待できる海外での事業規模と収益の拡大を成長の牽引役と位置づけ、2008年3月の英国ロイズにおけるキルン社買収を皮切りに、2008年12月の米国フィラデルフィア、2012年の米国デルファイなど買収や内部成長の強化に取り組んできた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら