「スマホ依存」抜け出せない人がまず観察すべきもの マインドフルネスの活用で衝動を"やり過ごす"
マインドフルネスは定義のむずかしい言葉だ。けれど、スマホ断ちという目的を考えると、マサチューセッツ大学医学大学院マインドフルネスセンター研究責任者、ジャドソン・ブルワーの定義がいちばんしっくりくるだろう。
「マインドフルネスとは、世界をより正確に観察することである」──そこには、自分自身も含まれる。
このシンプルな概念はじつはとてつもなく強力だ──依存習慣を断つことにかけては、特にそうだ。どれほど強力なのか。
まずはマインドフルネスで「衝動」と向き合うこと
2011年、ブルワーおよび共同研究者たちは、無作為に抽出した被験者を対象に、マインドフルネスの実践が禁煙に効果があるかを検証する比較実験の結果を発表した。
より具体的に言うと、禁煙プログラムとして広く受け入れられている、アメリカ肺協会の”定番”プログラムと、マインドフルネスを比較するのが目的だった。
2年間の実験で100人近くの喫煙者がランダムに選ばれ、ふたつのグループに分けられた。一方は定番プログラムに参加し、もう一方はマインドフルネスを実践した。
”マインドフル”な喫煙者は、最初にブルワーから習慣のループについての説明を受けた。依存衝動を引き起こすきっかけの見つけ方を学び、自分の衝動(と、反応)をどうにかしようとするのではなく、そこに注意を向ける練習を重ねた。
この段階だけでも劇的な効果があった。たとえば、長年喫煙をつづけたある女性は、煙草の味に意識を向けたことで、ついに禁煙の決意を固めた。
ブルワーによれば「彼女のなかで知識が実感に変わった。喫煙はよくないと頭で理解していたことを、身を以て体感したのだ」。
次にブルワーは被験者に欲求から逃げずに向きあうよう指導した。自分の衝動を認識し、それをゆったりと受け止めるようにするのだ──つまり、衝動を止めようとするのではなく、湧きあがってくることを許容するようにした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら