テレビ事業再建に逡巡、パナソニックの窮地 

テレビ事業再建に逡巡、パナソニックの窮地 

パナソニックは6月20日、東日本大震災の影響で開示を見送っていた2012年3月期の業績予想を発表した。売上高は前期比横ばいの8・7兆円、営業利益は約1割減の2700億円と3期ぶりの減益になる見通しだ。

震災による営業利益のマイナスは900億円と大きい。液晶パネル工場の一つが生産停止したほか、自動車の減産で車載機器が打撃を受けた。それでも通期1割の減益にとどまるとしたのは、新興国での増販や復興需要である程度補えると踏んでいるからだ。営業利益は下期だけで2600億円と急回復を見込む。

多くのアナリストの事前予想は2割程度の減益。今回の発表は株式市場へのポジティブサプライズのはずだった。

テレビは今期も赤字

だが、翌日の株価は前日より6円安い923円と下落した。パナソニック株は今年に入って低迷が続いている。年初の1200円から下がり続け、震災直後は826円まで落ち込んだ。これは30年ぶりの低水準だ。現在も08年のリーマンショック時の安値を下回るのは、大手電機メーカーでパナソニックだけ。JPモルガン証券の和泉美治アナリストは「低株価の理由は、テレビ事業の黒字化の遅れに対し、会社側が明確な解を持たないこと」と指摘する。

テレビ事業は年間1兆円を売り上げる主力だが、3期連続で数百億円の赤字とみられる。円高によって国内生産に集中する路線が裏目に出たためだ。10年も総投資額4500億円に上る薄型テレビ用パネルの二つの巨大工場を稼働させたばかりだが、計画を練った07年当時は1ドル=110円台で、80円台は想定外。「振り返れば、為替の見通しが甘かったと言わざるをえない」(大坪文雄社長)。

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