リニア中間駅はどこに? 「長野の争い」の顛末

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リニア中間駅はどこに? 「長野の争い」の顛末

国土交通省が5月27日にJR東海に対して建設指示を出したことで、いよいよ実現に向けて動きだしたリニア中央新幹線。ところがJR東海はのっけから、難しい問題に直面している。

先行工事区間の品川-名古屋駅を、最短40分で結ぶのがリニアの主目的。一方、沿線4県(神奈川・山梨・長野・岐阜)に1駅ずつ設ける「中間駅」は、優先順位が高くない。それが長野では大きな壁にぶち当たっているのだ。

JR東海としては、2014年に建設に着手しようと、綿密なスケジュールを描く。11年12月に事業想定地域の環境影響調査を始めるプランを作らなければならない。6月中には、おおよその想定ルートと中間駅設置地域を明らかにし、地元自治体の了解を得る必要があった。

しかし長野県の阿部守一知事は、「JR東海は地元自治体の声を聴いていない。しっかりと聴いたうえで決めてほしい」と、JR東海の山田佳臣社長に要請。6月7日にJR東海が公表した、「中央新幹線(東京都・名古屋市間)計画段階環境配慮書」では、長野県を“空白”にした異例な内容となったのである。

飯田市vs.高森町

こう記すと、長野県が無理難題を投げて、JR東海を困らせているように見えるかもしれない。だが長野には特有の事情があるのも事実だ。

何しろ1989年以来、県が強く求めてきたのは、南アルプスを北側に大きく回り込み、茅野、伊那を経て、飯田に至る「迂回ルート」だった。が、5月に国交省が正式決定したルートは、南アルプスを貫通して、飯田へ達する「直進ルート」。この正式決定から日も浅いことから、県内の自治体の意見は統一されていない状況なのである。

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