リニア中間駅はどこに? 「長野の争い」の顛末

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 しかも長野は再び、期待を裏切られてしまう。「飯田市」の市街を通り、在来線の飯田駅に中間駅を併設するのが、地元側の強い意向だった。にもかかわらず、6月1日に大手紙1面にリークされた設置予定地は、農村の広がる「高森町」周辺だったのだ。

県内には、まだ迂回ルートをあきらめ切れない自治体があるうえ、飯田市と高森町の綱引きまで発生する始末。こうした摩擦は、当事者の話し合いで解決するレベルを、とうに超えてしまっている。

各自治体の意見を聴く場としても期待された、6月21日の「リニア中央新幹線建設促進長野県協議会」総会は、極めて静かだった。この日午後に、長野県や中南信地域5地区の期成同盟会、経済団体の代表が長野市内に集結。焦点の自治体から、県やJR東海への要望が飛び出してもおかしくなかったが、総会では何一つ質問は出ずに、関係者の口は一様に重かった。

総会終了後、阿部知事がJR東海の金子慎専務に手渡した要望書にも、具体的なルートや駅設置場所は書き込まれていない。要は、長野県内での意見の集約は難しく統一の要望を出せないため、事業主体のJR東海がルートや駅の設置場所を提案するのを待とう、というわけだ。「長野県の自治体が無茶を言って、国策の事業が遅延する事態だけは避けねばならない」(県南自治体のある首長)。

建設費負担めぐる思惑

であれば、結論は決まっている。JR東海としては、用地買収を円滑に進めるために、地上部を走る箇所は、できるかぎり市街地を避けたほうがいい。市街地のど真ん中を通る、飯田駅に併設する選択肢など、初めからないだろう。

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