復活『おっさんずラブ』長く愛される3つの理由 社会現象になった"初代おっさんずラブ"の続編
したがって放送終了後には、深刻なロスを訴えるファンも多かった。するとそれに応えて脚本の徳尾浩司が自身のTwitterアカウントで存在しない「第8話」の架空実況を始め、ファンも妄想実況を大量に書き込んでトレンド入りするという異例の事態となった。
また海外での反響が大きかったのも、このドラマの特徴だ。韓国、台湾、香港などアジア圏で配信され、際立った視聴数を記録した。さらに田中圭や林遣都の個人人気も過熱。過去に出版した写真集が売り上げ急上昇し、特集された雑誌が重版されるといった現象を巻き起こした。
2019年には劇場版も公開されてヒット。その後シーズン2として『おっさんずラブ-in the sky-』(2019年放送)が放送されたが、こちらは不動産会社から航空会社へと設定がガラッと変わった。またシーズン1のメイン3人のうち林遣都が出演しなかった。
一方、シーズン3となる今回の『おっさんずラブ-リターンズ-』は再び不動産会社に舞台を戻し、林遣都も同じ牧役で復帰。蓋を開けてみれば黒澤が家事代行サービス業に転職という意外な展開、新キャストの井浦新と三浦翔平が演じる謎めいた人物たちの登場もあり、ファンの期待もいっそう高まっている。
では、田中圭、林遣都、吉田鋼太郎による『おっさんずラブ』シリーズは、なぜここまで長く愛されるのか? 思うにその理由は3つある。
エンタメ性とメッセージ性の絶妙なバランス
まずは、テーマの新鮮さがあるだろう。それまで男性同士の恋愛がドラマで扱われなかったわけではないが、ここまで真正面から物語の題材にすることはまだ極めて珍しかった。
しかも『おっさんずラブ』の場合、エンタメ性とメッセージ性のバランスが絶妙なことが、大きなポイントだろう。同性同士の恋愛について深く考えさせるメッセージ性の強いドラマもあっていいが、エンタメとして存分に楽しんだ後、ちょっとそれについて思いをめぐらせるようなドラマもあっていい。『おっさんずラブ』は、いうまでもなく後者の代表である。
徳尾浩司も、「『男性同士で恋愛するときにこういうシチュエーションが萌えるんじゃないか?』というよりは、男女の恋愛と同じく“恋愛ドラマを真っ直ぐに描く”ということが出発点」であったと言う(『アニメ!アニメ!』2018年6月2日付記事)。性別にかかわりなく、ひとが恋愛するときに生まれるドラマを純粋に描こうとしたことがうかがえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら