日本郵船の株主総会、原子力利用の方針変えず、LNG燃料船も「真剣に検討」

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日本郵船の株主総会、原子力利用の方針変えず、LNG燃料船も「真剣に検討」

日本郵船は23日午前10時より、東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京にて株主総会を開いた。同社は前2011年3月期決算において2年ぶりの営業黒字化を達成。しかし、3月11日に発生した東日本大震災による被害や、業績への影響など不安要素もあり、これらの点に株主の注目が集まった。

総会では、配当に関する議案(1つ)、役員選任に関する議案(3つ)、買収防衛策に関する議案(1つ)が扱われた。

会場に訪れた株主は875人(昨年は678人)。11年3月期の事業報告が行われた後、工藤泰三(やすみ)社長が対処すべき課題や今回の震災で同社が受けた被害について説明した。その後の70分間にわたる質疑応答の場面では、9人(昨年は8人。他に書面での質問が1人)の株主が質問に立ち、工藤社長のほか、専門的な内容については工藤社長と同い年の加藤正博専務、諸岡正道専務が回答した。

冒頭での工藤社長による震災被害の説明だけでは飽き足らなかったのか、さらにその詳細を知りたい、と震災被害についての質問が株主から出た。諸岡専務は被災した3隻の石炭船について、1隻は港外に脱出して積み荷も無事だった、1隻は積み荷を残したまま座礁中、もう1隻は損害保険会社によって全損判定がなされたと説明した。

全損の1隻に関しては保険が全額適用されるが、座礁中の1隻に関しては撤去費用や荷物の積み出し方法について、地方公共団体や荷主と協議中だという。「いくら(かかる)とは申し上げられない」と諸岡専務。同じく津波の被害を受けた1000個のコンテナに関しても、撤去方法を自治体と協議中である一方、コンテナ自体には「コンテナ保険」が適用されて金銭的被害がないことを明らかにした。

一方で諸岡専務は「間接的被害の方が、程度がきつい」と吐露。特に自動車生産台数の落ち込みがきつく、「4、5月は運ぶ車が(ほとんど)なかった」。同社は4月28日の決算説明会で、震災の間接的被害が経常利益を300億円程度下押しするだろうと発表。しかし、諸岡専務は自動車メーカー各社の生産能力が予想以上に回復していると指摘し、影響が4月に想定していたより小さくなる可能性を示唆した。「7月末頃に(予定している第1四半期決算の場で)改めて発表する」、と諸岡専務は回答した。

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