「スマホで操作できるEV」中国で激化する勢力争い 有力メーカー3社が独自OSをEVに搭載し話題に

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Meizuは2009年に中国企業で初めてスマホを発売し、アリババグループから資金調達するなど、初期の中国スマホ市場を牽引する存在だったが、その後シャオミやOPPOなど後発企業に押されて衰退、2021年のスマホの国内シェアは1%を割っていた。

ボルボ・カーも傘下に持つ吉利は、Meizuが中国スマホ市場初期から独自技術を蓄積し、アンドロイドOSをカスタマイズした「Flyme OS」を開発していることに目を付けたのだ。吉利はBYDやファーウェイに対抗するために、そしてMeizuは自らの生存のために互いをパートナーに選んだ。

吉利とボルボの共同ブランド「リンク・アンド・コー」が2023年9月に発売したPHV「08」シリーズには、星紀魅族が自主開発したスマートコックピットシステムが搭載された。

Meizuのスマートフォンを持って自動車に近づくと自動でロックが解除され、車内のディスプレイにスマホの画面を映して操作できるなど、スマホと自動車の連携を売りにしている。

Meizu スマホ 中国 EV
吉利とボルボの共同ブランド「リンク・アンド・コー」(写真:筆者撮影)

星紀魅族は2023年11月、自動車向けのOS「無界OS(Flyme OS)」、自動車向けソフトウェアソリューション「Flyme Auto」を吉利とボルボの共同EVブランド「Polestar」や、吉利のフラッグシップEVセダン「銀河(ギャラクシー)E8」に搭載し、さらにMeizuブランドの新車種「MEIZU DreamCar MX」を2024年に発売することも表明した。

Meizuは「自動車を操作するスマホ」に定義しなおすことで、スマホ市場でも3年後に中国5位を狙う目標を掲げている。

スマホで操作できるEVは新たな競争軸に

スマホで操作できるEVは新たな競争軸となっており、鍵の差し込み口がないEVも登場している。星紀魅族のトップは中国メディアの取材に対し、「ファーウェイとシャオミ、そして当社のOSは自動車3.0時代を代表する存在だ」と語った。

EVメーカーとスマホメーカーの融合は、スマホの世界シェアで2位だったファーウェイが凋落した後も、中国メーカーが依然として3~5位を占めているからこそ起きる事象だろう。それが中国市場に限ったトレンドなのか、あるいは自動車業界の世界的なゲームチェンジに影響するのか今後1~2年で見えてきそうだ。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

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