中国の新興車載電池メーカーが「上場断念」の事情 SVOLT、単一顧客への依存度高く将来像描けず

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SVOLTは早期上場を実現しようと、長城汽車以外への販路拡大に躍起になっていた。写真は中国の電池関連の国際展示会に出展した同社ブース(SVOLTのウェブサイトより)

中国の新興車載電池メーカーの蜂巣能源科技(SVOLT)が、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板」への上場を断念したことがわかった。同取引所が2023年12月22日付の情報開示のなかで、SVOLTおよび幹事証券会社の中信証券が科創板への上場申請書を取り下げたことを明らかにした。

SVOLTはIPO(新規株式公開)を通じて150億元(約2991億円)を調達し、その7割超を中国国内の3工場の建設に充当する計画だった。

同社は2021年末、電池の生産能力を2025年までに年間600GWh(ギガワット時)に拡大し、グローバル市場で25%のシェアを獲得するという野心的な目標を発表。上述の3工場はその一部になるはずだったが、資金調達計画の大幅な見直しを迫られた格好だ。

ルーツは長城汽車の電池部門

SVOLTのルーツは、中堅自動車メーカーの長城汽車(グレートウォール)が2016年に設立した車載電池事業部にある。また、会社の実質的な経営権は長城汽車の董事長(会長に相当)を務める魏建軍氏が握っている。

こうした経緯から、SVOLTは長城汽車という単一顧客への依存度が高い。IPOの目論見書によれば、車載電池および関連部品の売上高に占める長城汽車の比率は、2019年時点では99.86%に達していた。この比率は2021年に86.37%、2022年上半期(1〜6月)には56.95%に低下したものの、なお半分を超えている。

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